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裏千家淡交会スウェーデン協会 会長 デューク宗叡


    1990年夏、スウェーデンのストックホルムにある国立民族博物館に茶室「瑞暉亭」が日本から寄贈されたことが、私どもスウェーデン協会発足のきっかけとなりました。現在の「瑞暉亭」は二度目の寄贈で、最初は1935年にヨーロッパ初の本格的な茶室として、日本の製紙王の異名を取った藤原銀次郎氏より寄贈されました。残念ながら1969年に焼失してしまいましたが、亡き藤原氏の遺徳を偲ぶ日本製紙業界などの協力で再度の寄贈が実現、中村昌生京都工芸繊維大学名誉教授の設計により再建されました。新しい「瑞暉亭」が建築されて以来、常陸宮殿下夫妻や鵬雲斎大宗匠夫妻をはじめ寄贈に所縁のある方など、様々な人々が多数訪問されています。
  当協会の元には、華やかな茶室披きに関する諸行事の運営を皮きりに、定例及び依頼による茶事行事の申し込みが殺到しました。それ以外にも、博物館ホールにて一般向けの日本文化についての講演、映写会、大使公邸や国内各所の博物館での茶会、大学や各研究所での茶道解説など幅広い分野の方々と交流しています。会員は在籍期間も国籍も多様で、まさに行雲流水の出入りがあります。しかし互いに励まし合いつつ一丸となって解説や呈茶、水屋仕事に取り組み、出会いと別れが交差する中での修練をすることで、茶道に精通した会員も増えました。
  茶室と共に歩んできた日々の中、遠い北欧の地で静寂と共に感じた驚きと感動を胸に、育ってきた人々を支えて行こうと思います。


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