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裏千家淡交会サンフランシスコ協会 幹事長 田内 愛子

  サンフランシスコは坂が多く、丘の上にパステルカラーに塗られたビクトリア調の家が立ち並ぶロマンチックな街です。1952年に、鵬雲斎大宗匠がこの街を訪問された折に、サンフランシスコ支部(現協会 会長・原 丈夫氏)が発会となりました。2008年4月には170名を擁する会となり、1980年にできたサンフランシスコ出張所とともに発展を続けております。
  2008年3月には、協会会員22名が2日間の宗家研修と利休忌参拝をさせていただきました。宗家拝観の折、咄々斎の床には、大宗匠御染筆の「千里鶯鳴紅映青」が掛けてあり、私たちを迎えてくださるのにぴったりのお言葉のようで感激いたしました。点前稽古では、業躰先生方から真心のこもったご指導を受け、心に染み渡るような独特の厳かさを味わいつつ、先生の教えをひとつひとつ肝に銘じることが出来ました。また、朝に鶯の鳴き声が聞こえて障子を開ければ、紅梅が満開で、松の緑に映えるその美しさにうっとりと時差も忘れてしまう程でした。
  研修は想像以上に素晴らしく、宗家の方々の暖かいおもてなしに浸りながら、お茶の原点を知る貴重な体験をさせていただきました。
  そして、利休忌の日には、来賓の方々の後に咄々斎へと席入りさせていただき、大宗匠の力強い初炭手前と御家元の流れるように美しい濃茶点前を拝見することが出来ました。その後、茶道会館の立礼席で、御家元夫人が点ててくださった一碗を頂戴し、光栄極まりない一期一会を経験させていただきました。
  このとき寒雲亭のお床に掛けてありましたお軸「燈々無尽」は、灯りを絶やしてはいけないという意味と伺いました。この度の宗家訪問で私たちの胸に灯った熱い情熱を、いつまでも消すことなく、茶道の修練に精進を続けて参りたいと思います。

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