2008年度裏千家インターナショナル・アソシエーション研修旅行報告


  2008年度UIA研修旅行は、日仏交流150周年・京都パリ友情盟約締結50周年記念に際して、パリのプティパレ美術館に於いて開催された、相国寺・金閣・銀閣名宝展 開眼法要並びに献茶式に参列する機会を頂いて実施され、会員48名が裏千家淡交会パリ協会による呈茶のお手伝いをさせて頂きました。 
  パリ協会の方々とは事前打合せがほとんどない状態ながらも、UIA会員は補助に徹し、スムーズな運びに助力できたものと存じております。

 10月13日、その日はオペラ座に程近いホテルに荷を解きました。

 10月14日午前中はパリ市内観光で、エッフェル塔、ノートルダム寺院や凱旋門、コンコルド広場などをめぐり、昼食後はこの旅行中、唯一のフリータイム。 会員それぞれに、思い思いのコースへと足を運びました。

 10月15日朝、宿泊のコンコルド サン ラザール ホテルは着物姿の会員でロビーも一段と華やかに。一行は会場、プティパレ美術館へ移動。開場までの時間、入口前階段にて全員の記念写真となりました。





  今回の会場は、1900年に開催されたパリ万博で会場となったグラン・パレに対し、パリ市所蔵の美術品を展示するプティ・パレで、エントランスから続く大窓の明るいギャラリーは、非常に開放感のある空間です。
  そこに設えられた御園棚の立礼席は、お花からお水屋まで、志村業躰先生、山本業躰先生のご指導の下、すべてパリ駐在講師堤宗穂様を中心とするパリ協会の方々が整えて下さり、完璧なご準備の程に、そのご苦労とご誠意を感じました。

  12時からのお呈茶は、各12名4グループが交替でお手伝いにつきました。
  また、呈茶お手伝いの交代時間を利用して、数々の名宝を拝観する機会を頂きました。利休居士の一行「孤舟載月」を始め、宗旦居士ゆかりのお道具や、名僧の墨蹟など、国内では滅多に拝見できない御品に接することが叶い、長旅の甲斐があった、と皆一様に感激いたしました。




  いよいよ午後3時、パリ副市長を始め各界のご来賓ご臨席のもと、臨済相国寺派官長 有馬頼底猊下を前に、大宗匠が厳かにお献茶式を執り行なわれました。
  大宗匠はパリと京都、フランスと日本との友好関係を願ってお話をされ、会場にはお言葉を一言も聞き漏らさんとする緊張が漂っておりました。続く有馬頼底猊下のご挨拶も流れるようなフランス語に通訳され、式典は滞りなく終了いたしました。




  式典終了の後、大宗匠は立礼席で来賓の方々にお茶を振る舞われ、パリ副市長には御自ら一服を点てられました。全ての行事が終了し、大宗匠は私達一人一人にお声を掛けて下さり、皆の顔は緊張から充実感に変わりました。

  夕刻には大宗匠のご厚意を賜り、パリ協会の方々も交え、セーヌ川のディナークルーズを楽しませて頂きました。 青いイルミネーションのエッフェル塔が小雨の中に浮かび上がり、その幻想的な光を見つめながら、改めてお手伝いを終えた充実感と、貴重な体験をさせていただいたことへの感謝の思いが満ちておりました。




 10月16日はTGVにてフランス北東部、ドイツとの国境に位置する、ストラスブールに2時間半の移動。世界遺産であるこの小さな町では、中世ヨーロッパ一の高さを誇ったノートルダム大聖堂を始め、おとぎの国のような木組みの家々の町並みを満喫いたしました。 通訳はドイツ語に変わり、この国境の小さな町には、激動の歴史の重みが感じられました。




 10月17日はバスでアルザス地方のワイナリーへ。工場見学とテイスティングの後はお気に入りのワインを手に入れる方々も。家内経営ならではの寛いだ光景の中で、会員の親睦度も最高潮になったように思われました。
  コウノトリが巣を作る建物、小さな可愛いお庭の家々に長閑な村の雰囲気が漂っていました。




  葡萄畑の村を離れて、僅かなショッピングタイム。お茶に使える記念の品などを求めて、通りに立ち並ぶ可愛い店を小走りされる方々も。

  夕刻は会員のさよなら夕食会となりました。グループ毎のテーブルに着き、田村輝子運営幹事より労いの挨拶の後、全員が一言ずつ。 反省点も多々ありましたが、皆感謝と喜びで一杯でした。

  短くも大変充実したこの研修旅行、お茶を通して自分を省みることで、今後の精進への礎をまた築かせて頂きました。 貴重な機会をお与え下さいました大宗匠、 総本部国際部の皆様、そしてパリ協会の皆様に心から感謝を申し上げます。また会員の皆様とのよき親睦が図れましたことも今後の大きな励みになると信じております。
  ありがとうございました。

(文責 東玲子)