子どもたちに「日本の心、和敬清寂のお茶の心を」


大阪市 ・ ともしび保育園
副園長 大塩メ子(宗メ)

  今年も、卒園する子どもたちと大阪南支部の学生茶会の香煎席を担当させていただき、緊張の中にも心地良い思い出を作ったようです。
  私は茶道を志す者として「天衣無縫」な人間形成の根幹となる一番重要な時期に何かお役に立てないかと“お茶ごっこ”として取り組むことを考えました。保育の中で1年間のカリキュラムを作り、目標を“社会性を育てよう、その中で仲間づくりの広がりを大切にし、感謝の心や思いやりを育てよう”にしました。
  月1回のお稽古は、日常の一場面で相手を思いやり、気持ちよく楽しんで一緒に時を過ごすにはどうすれば良いのか、それには挨拶の仕方や、色々なお約束があること。そして四季に恵まれた日本なのに食べ物や花屋さんの花には季節感がなくなっている今、自然現象にも生活の場にも目を向けられるやさしい人に育ってくれることを願い、園庭に咲いているお花を入れ、季節のお菓子を用意しました。




  子どもたちは、「お茶室に入ると何だかいい気持ちになる」、「お菓子の音も聞こえる静かな世界」と呼んで、初めて飲むお抹茶も誰一人として嫌がることもなく毎月楽しみにしています。その励みになればと、自分たちで作った笹飾りで七夕茶会や、老人ホームの方たちと初釜をしました。卒園式には自分たちで絵付けした世界で一つのお茶碗で保護者の方や職員一同でお別れ茶会をしました。お茶碗は何より大切な卒園記念品になりました。




  その卒園式には、お家元から子どもたちに「おしるし」をいただき何よりも感慨深く、これから小学校、中学校と大きくなっていく中で茶道の大切な「日本の心、和敬清寂のお茶の心」が育って行って欲しいと願っております。