初釜茶会レポート


  国際基督教大学 伊東沙耶佳

  ICU茶道部において初釜茶会は、代替わりの場であるとともに4年生にとって最後の表舞台となる重要なお茶会です。
  今年度の初釜が行われた1月13日、東京は今冬一番の冷え込みを記録した日でした。9時、支度を整えた参加者が泰山荘に集合し、初釜に向けての準備がはじまります(余談になりますが、近年ICU茶道部では先輩が後輩へ着付けを教えることが習慣になっており、その結果、今回の初釜は参加者18名のうち実に11名が着物と、とても華やかな雰囲気の中行われました)。準備がすんだら香煎を飲みつつ土間の火にあたりながら席入を待ちます。そして迎付をうけたのち、蹲踞で自らを清め、いよいよ席入です。


  床などの拝見をすませ、いつものお稽古とは少し違う緊張感の中、初炭がはじまります。今回は初炭で夏季学生セミナーに参加した部員が龍安寺で購入した香合を使ったことを始めとして、お茶杓は部長の高校時代の茶道教授者が作ったものを使うなど、お道具の多くが参加者にとって思い入れのあるものとなりました。そして初炭後に懐石弁当をいただき、土間へ中立します。ここで、午前中は授業があり参加できなかった留学生2名と1年生2名が加わりました。




  後入からの参加を認めるのは今年が初めてだったため懸念もされましたが、滞りなく行うことができました。全員揃ったところで銅鑼が鳴り、後入します。そして濃茶ですが、昨年9月に来日した留学生2名にとっては初めての茶事であるとともに初めての濃茶。両脇の先輩部員のサポートを受けつつ濃茶をいただきます。片や一口でギブアップ、片やごくごく飲むという両極端の反応でしたが、共通の印象は、「ヨーグルトみたい!」。続いての後炭はICU茶道部では初釜と卒業茶会でしか後炭をする機会がないため、亭主にとっても客にとっても非常に貴重な経験となりました。そして薄茶は昨秋に海外留学から戻ってきたばかりの4年生が担当でしたが、一年間のタイムラグをものともせず素敵なお点前をして下さいました。薄茶のみならず、点前を担当する4年生は昨年11月の秋季茶会が終わってからすぐ、初釜のために稽古を重ねてきました。いわば茶道部での4年間の集大成のようなこのお茶会、やり終えた後はみな澄み切った表情をしていたのが印象深かったです。




  茶席が終わった後は簡単な代替わり会を行いました。ICU茶道部はこの初釜をもって3年生から2年生へと幹部学年が代替わりするため、代表して部長・新部長・新副部長がそれぞれ挨拶をします。特に部長の佐藤さんにとっては副部長・裏研評議員長・部長と頑張り続け、ようやく肩の荷が下りる時。網谷宗美先生・伊庭野宗恵先生を始めとしてみなその努力を知っているため、本人にとってのみならず、そこに居合わせた人全員にとって非常に感慨深い時間となりました。今後も先輩方から教えていただいたことを大事にしつつ、先生方のご指導の下、部員一同頑張っていきたいと思っています。