東京大学公開シンポジウムにて呈茶
東京大学裏千家茶道同好会からの報告




西表島のものにこだわった道具組。 現地の風を吹き込まれたような生き生きしたしつらえが新鮮でした


ホワイエに設けられた1日だけの茶室。 お客様にも、お茶の「空間」を体験していただきました。


この度、私たち東京大学裏千家茶道同好会は10月11日、同大学院で開催されたシンポジウムに協力し、会場に特設された茶席で参加者の皆様に呈茶をする機会を得ました。

シンポジウムのテーマは「伝統の智恵を拓く― 耳で食べる・時を着る―」。コミュニティにとって「伝統」がどのような役割を果たしてきたのか、又果たし得るのか、というもの。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)がシンポジウムを主催、大学内外より200名余りの方々が来場され、会場は熱気にあふれていました。

講師は、京都と西表島(沖縄県)という、まったく違う自然・文化的環境にあって、「伝統」に根ざしつつ時代に即応した活動をされている太田達氏(京菓子・有職菓子御調進所「老松」主人)と石垣昭子氏(西表島在住染織家・紅麹(くーる)工房主宰)。聞き手には、コミュニティケア活動を支援されている佐藤修氏(コミュニティケア活動支援センター長)を迎え、伝統とコミュニティという、一見結びつきにくいテーマに対し、興味深い議論が展開されました。




太田達氏による講義「コミニュティにおける京菓子」。 聞き手は、東京大学大学院博士課程在学中の濱崎加奈子。


京菓子つくりの実演。来場者の要望に応えて次々と即興で菓子が作られ、会場から拍手がおこりました。


  今回、シンポジウムのもう一つの焦点として、太田氏によるお茶席が設けられました。これは日本の伝統文化や智恵、そして京菓子を培ってきた茶という場を、参加者の皆様に実体験いただくためのもので、太田氏には会場に一日限りの茶室を建てられ、茶席のテーマは「西表島」。そして同氏にはわざわざ西表島に赴き、道具組みを考えたという力作でした。琉球王府伝来の軸をはじめ、パナリ焼の茶碗、カンピレーの滝の水など、西表島の空気をたっぷりと感じさせるお茶席でした。
  普段、お茶に馴染みのない人たちに、お茶の、幅広く又奥深い世界に触れる貴重な機会となるとともに、私たちにとっても日頃の茶道活動では得ることのできない貴重な体験となりました。




各界より様々なお客様が来場。初めてお茶室にあがるという方も、リラックスしてお茶を楽しまれました。


留学生の姿も多くみられ、興味深い質問がとびかいました。