第26回学校茶道担当者・第35回学校茶道指導者
合同研修会
研究主題「ふれあいの中で見つける 心のつながり
─子どもの楽しみ 大人の喜び─」


開講式


  7月27〜29日、第26回学校茶道担当者・第35回学校茶道指導者合同研修会を宗家・京都東急ホテルにおいて開催しました。全国から裏千家茶道採用校の学校長・茶道部顧問教諭はじめ、学校茶道に携わる淡交会各支部学校茶道連絡協議会会員ら181人が参加しました。



基調講演:関根専務理事





◇7月27日
  呈茶、開講式に続いて、関根秀治淡交会専務理事の基調講演が行われ、学校茶道の歴史と裏千家の学校茶道への取り組みについて解説。さらに「生活文化」「綜合文化」「道の文化」としての茶道を子どもたちに伝える意義に言及されました。また、文部科学省の「子どもの居場所づくり―地域子ども教室―」・文化庁の「伝統文化こども教室」など総本部が推進している事業を説明されました。その後、保育園から大学まで学校種別に分かれて、以下の7名のアドバイザーを座長に意見交換会がもたれました。参加者夫々が抱える課題や各地の学校茶道の現状について報告とディスカッションを行いました。


大学・短期大学・各種学校他 高等学校A 高等学校B


高等学校C 中学校


小学校、養聾盲学校 保育園・幼稚園


【アドバイザー】
 ・ 三重県立宇治山田高等学校 前校長 浅沼宗博氏
 ・ 宮崎日本大学高等学校 教諭 小牧宗芳氏
 ・ 倉敷翠松高等学校 校長 高月賢太郎氏
 ・ 大網白里町立白里中学校 教諭 名取宗康氏
 ・ 高知県中村市立中村南小学校 校長 永野隆史氏
 ・ 東日本国際大学 教授 船生宗敏氏
 ・ 須磨浦小学校 教頭・幼稚園 園長 山本宗義氏





◇7月28日
  午前中は、以下の講義。

講義T「学校茶道における心理学的工夫」 岡本浩一講師(東洋英和女学院大学教授)

  茶道指導に際しては、子どもたちに日本人としての自覚を持たせ、伝統文化への愛情・愛着を持たせることが大切。また、学校茶道の目的として次の7項目の大切さを語られました。@大人になったときに、本格的な茶道に戻ってくる道をつくる。A日本人としての誇りをもたせる。B外国に出て行くことに備えさせる。C文化への愛情と、先人への愛着をもたせる。D勉強以外にも、努力や達成の対象を自覚させる。E千利休についての知識を得させる。F規矩に服するということを自然に体得させる。

講義U「茶の感性」 筒井紘一講師(今日庵文庫長・京都学園大学教授)

  千 玄室大宗匠は修道の在り方を「道・学・実」の面から提えられ、しかも三位一体でなければいけないと、しかし今日のように実技中心となっていることを懸念され「実」だけではなく「道・学」を重きにおいて充実を計り、坐忘斎家元は「良い先生の育成」を目指されていること。
  また、子どもたちには、茶道を通じて感性を高め「感動」「驚き」「興味」三つのポイントを踏まえた教育を行っていただくとともに、人に対するもてなしの心も育てていくことの大切さを強調する内容でした。

  午後、受講者は宗家に移動。
冒頭、千 宗室家元よりご挨拶がありました。
  家元は、大学で茶道の授業を受け持たれている経験から「今の若者たちも季節を感じたり風流を大切にしたりといった和の心を持っているはずです。この和の心を茶道を通じて伝えていただきたい」と学校茶道への強い期待を示されました。



千 宗室家元より挨拶


  受講者は、利休御祖堂参拝・茶室拝観、呈茶、茶道資料館見学の後、泉本宗悠業躰の解説による実技講習を受講。茶道指導のポイントなど熱心に聴講しました。



利休御祖堂参拝・拝観 茶道会館にて呈茶




宗家業躰による解説・実技講習





◇7月29日
  最終日は、まず野田卓郎講師(京都市立西陣中央小学校校長)による「伝統文化を学ぼう―茶道土曜日教室の実践報告―」と題した事例発表が行われました。
  同校では「豊かな心を持ち、活動する子を育む」を教育目標に「特色ある学校づくり」「開かれた学校づくり」を積極的に進め、そして同校が所在する西陣という町の伝統文化や伝統産業の盛んな地域の特色を生かし、子どもたちに日本文化を伝えるため学校・地域・家族の連携協力のもと、土曜日の課外学習として実施している茶道教室等の報告が行われ、今後の学校教育における茶道の在り方を示唆する内容でした。

特別講義「子どもの居場所づくりー地域子ども教室についてー」
月岡英人講師(文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)

  文部科学省が3か年計画で推進する「子どもの居場所づくり―地域子ども教室―」の趣旨について解説されました。
  今の子どもたちは、年齢の異なる子どもたちと遊ぶ機会や地域の大人と接する機会が少なくなっており、自分の考えや感情を正しく相手に伝えること、相手の感情を正しく受け止めることができなくなってきている。集団生活の中で人間関係作りのため緊急且つ計画的に子どもの居場所を確保し、地域の大人たちの教育力を結集して、様々な体験活動や地域との交流活動等の取り組んでいただきたい、と各地での実施事例を交えながらお話しされました。


月岡英人講師
(文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)


  続く全体会議では、意見交換会の内容を各グループ代表が発表、さらに月岡氏が質問に応じられました。
  閉講式では、学校茶道担当者の富田謙三氏(京都文教学園理事長)、指導者の佐々木宗慶氏(宮崎支部幹事長)が代表して修了証を拝受、富田氏が謝辞を述べ終了しました。


全体会議 アドバイザー、講師の方々


  富田謙三氏(京都文教学園理事長)並びに佐々木宗慶氏(宮崎支部幹事長)が修了証を拝受しました。