第48回学校茶道指導者研修会・第38回学校茶道担当者講習会
合同研修会




  平成29年7月20日(木)から22日(土)までの3日間、宗家・京都東急ホテルを会場に開催し、淡交会各学校茶道連絡協議会の会員122名、全国の裏千家茶道採用校の教職員等18名の計140名が受講しました。
  この研修は、学校教育における茶道の果たす役割やその可能性について考える機会として、「学校茶道指導者研修会」と「学校茶道担当者講習会」を合同で開催するものです。


7月20日(木)
<開講式>
  主催者を代表して木戸崇夫淡交会専務理事より「学校茶道は、玄々斎宗匠の時代から歴代の家元が情熱を注いで進めてこられました。その情熱をそれぞれの時代の先生方が受け留められ、学校の現場でご努力されたからこそ今日の隆盛があります。茶道には素晴らしい教育効果があります。皆様には自信を持って子供達に茶道を伝えていただきたい」と挨拶がありました。




<基調講演>筒井紘一氏(今日庵文庫長・茶道資料館副館長)
  「利休に学ぶ『守・破・離』」と題し講演。「守」は点前作法に固執している下手な状態、「破」は規則を守っていながら、そこから一歩出た状態。「離」は一見規範を離れているように見えながら、実は格が守られている段階と説明。利休道歌をあげ、誰もが通過する「守」の段階が無意味ではなく、初心を忘れないことが大切であると説かれました。




<分科会T>
  受講者は学校種ごとに9グループに分かれ、座長を務めるアドバイザーの進行のもと自己紹介をはじめ、互いの指導校の状況等を語り合いました。


座長
大学・短期大学・各種専門学校 船生宗敏氏(東日本国際大学非常勤講師・淡交会いわき支部副幹事長)
高等学校A淺沼宗博氏(皇學館大学現代日本社会学部特別招聘教授・淡交会三重南支部参与)
高等学校C吉田宗石氏(静岡英和女学院中学校・高等学校校長・淡交会東京第六西支部副支部長)
中学校小関洋治氏(元和歌山県教育委員会教育長・淡交会和歌山支部副支部長)
小学校A永野宗隆氏(高知県教育委員会事務局教育次長)
小学校B波佐間宗清氏(下関市教育委員会教育長・淡交会参事・下関支部副支部長)
小学校C梶川宗尚氏(淡交会川崎支部常任幹事)
幼稚園・保育所(園)A  染山宗江氏(淡交会参事・東京第一東支部副幹事長)
幼稚園・保育所(園)B  辻 宗治氏(淡交会参事補・岐阜支部副幹事長)


大学・短期大学・各種専門学校 高等学校A 高等学校C


中学校 小学校A 小学校B


小学校C 幼稚園・保育所(園)A 幼稚園・保育所(園)B


<夕食懇親会>
  午後6時から夕食懇親会を開催。野口耕一淡交会常任理事の挨拶に続いて、アドバイザーの淺沼宗博氏の発声で乾杯。学校種ごとにテーブルを囲み、和やかに懇親を深めました。長谷川義翁淡交会総本部事務局長の中締めの挨拶で会が締めくくられました。




7月21日(金)
<講義>淺沼宗博氏(皇學館大学現代日本社会学部特別招聘教授・淡交会三重南支部参与)
  「茶道教育が果たす役割」と題し講義。学校で指導する上で、カリキュラムを作成する重要性が説かれ、「茶の湯を通して、子供達に感謝の心、思いやりの心を伝えてほしい」と受講者に語られました。




<事例発表>糸川宗伸氏(大阪桐蔭中学校高等学校元指導者)
  学校内外での数多くの茶道行事の事例を発表。挨拶奨励のポスターや工夫を凝らした茶券の紹介もあり、受講者は興味深く耳を傾けました。




<大徳寺聚光院利休居士墓参・金毛閣拝観>
  受講者は3班に分かれ大徳寺へ移動。利休居士墓参と金毛閣拝観を行いました。時折、小雨が降る不安定な天候のなか、利休居士はじめ歴代家元の墓石へ静かに手を合わせました。




<実技解説>
  裏千家学園に会場を移し、中村宗石今日庵業躰による割稽古・薄茶平点前の実技解説がありました。




<宗家茶室拝観・平成茶室呈茶・茶道資料館見学>
  引き続き、宗家茶室拝観、平成茶室での呈茶、茶道資料館見学を行いました。
 初めて兜門をくぐり平成茶室に入る受講者も多く、ひと時暑さを忘れて一服をいただきました。




7月22日(土)
<分科会U>
  初日に続いて学校種ごとに分科会を開催。受講者が日頃の茶道指導における気付きや課題を語り合い、より踏み込んだ情報交換の場となりました。


<全体会>
  アドバイザーの永野宗骼≠フ進行で、分科会で話し合った内容を学校種ごとの代表9名が発表しました。


幼稚園・保育所(園)A
株本宗純氏(網走)
幼稚園・保育所(園)B
小宮宗保氏(大阪東)
小学校A
中原宗栄氏(米子)


小学校B
當銘敦子氏
(沖縄県立島尻特別支援学校)
小学校C
加藤宗輝氏(浜松)
中学校
稲福 宗米氏(沖縄)


高等学校A
栃本宗順氏(飛騨)
高等学校C
田中宗美氏(筑豊)
大学・短期大学・各種専門学校
黒木淳哉氏(熊本壺溪塾)


<閉講式>
  閉講式では、千 宗室家元が挨拶に立たれ「皆さんは子供達をもっと伸ばしてあげたいという気持ちでこの研修会に参加されました。手間をかけることの大切さ、そしてかけてもらえることのありがたさを子供達に伝えていってください」と締めくくられました。




  引き続き、指導者研修会の受講者を代表して後藤宗俊氏(東海学校茶道連絡協議会委員長・三重南支部副幹事長)、担当者講習会の受講者を代表して當銘敦子氏(沖縄県立島尻特別支援学校教論)に修了証が授与されました。




  最後に、受講者を代表して西村宗友氏(札幌第一学校茶道連絡協議会委員長・札幌第一支部幹事長)が謝辞を述べ、3日間に亘る研修会を終了しました。