第50回学校茶道指導者研修会・第40回学校茶道担当者講習会
合同研修会




  令和元年7月26日(金)から28日(日)までの3日間、宗家・ANAクラウンプラザホテル京都を会場に開催し、淡交会各学校茶道連絡協議会の会員131名、全国の裏千家茶道採用校の教職員25名の計156名が受講しました。
  この研修は、学校教育における茶道の果たす役割やその可能性について考える機会として、「学校茶道指導者研修会」と「学校茶道担当者講習会」を合同で開催するものです。

7月26日(金)
<開講式>
  午後1時30分からの開講式では、挨拶に立たれた千 宗室家元より「学校茶道は点数が付くわけではなく、すぐに芽が出るものでもありません。そのお子さんにとって将来必要となるかもしれないものを与える、そんな場だと受け取っています」と話され「指導者の皆様には、茶の湯を通して子供たちに正しい心の在りようを伝え、人と向き合う姿勢を育てていってほしいと思います」と結ばれました。




<基調講演>根来恭子氏(文化庁 文化戦略官)
  「学校教育における茶道」と題し講演。学習指導要領における「部活動」の位置づけをはじめ、それを取り巻く諸問題についてわかりやすく説明されました。また、日本が国を挙げて観光立国を目指している中で、日本人が自国の文化の再認識と誇りに思うことの大切さに触れられ、子供たちが学校教育の場で茶道を学ぶことの重要性を語られました。




<分科会T>
  受講者は学校種ごとに9グループに分かれ、座長を務めるアドバイザーの進行のもと自己紹介をはじめ、互いの指導校の状況等を語り合いました。

座長
大学・短期大学・各種専門学校 船生宗敏氏(東日本国際大学非常勤講師、淡交会いわき支部副幹事長)
高等学校A 淺沼宗博氏(皇學館大学現代日本社会学部特別招聘教授、淡交会三重南支部参与)
高等学校B 名取宗康氏(千葉県立成東高等学校校長、淡交会千葉県支部副幹事長)
高等学校C 吉田宗石氏(プール学院中学校・高等学校理事長兼校長、淡交会東京第六西支部副支部長)
中学校   永野宗骼=i高知大学大学院教職実践高度化専攻教授・附属学校教育センター長)
小学校A  小関洋治氏(元和歌山県教育委員会教育長、淡交会和歌山支部副支部長)
小学校B  波佐間宗清氏(元下関市教育委員会教育長、淡交会参事・下関支部副支部長)
小学校C  梶川宗尚氏(淡交会川崎支部副幹事長)
幼稚園・保育園(所) 辻 宗治氏(淡交会参事補・岐阜支部副幹事長)


大学・短期大学・各種専門学校 高等学校A 高等学校B


高等学校C 中学校 小学校A


小学校B 小学校C 幼稚園・保育園(所)


<夕食懇親会>
  午後6時から夕食懇親会を開催。長谷川義翁淡交会常任理事・総本部事務局長の挨拶に続いて、アドバイザーの吉田宗石氏の発声で乾杯。学校種ごとにテーブルを囲み和やかに懇親が深められました。
  その後、アドバイザーの永野宗骼≠フ中締めの挨拶で締めくくられました。




乾杯の発声 中締め挨拶

7月27日(土)
<講義>谷端昭夫氏(裏千家学園講師)
  「裏千家の歴史と茶室」と題し講義。歴代家元と宗家茶室群についての逸話や関係について解説され、受講者は裏千家の歴史と茶室について理解を深めました。




<事例発表>伊藤宗実氏
(淡交会愛知第二学校茶道連絡協議会所属、社会福祉法人 檸檬会 レイモンド庄中保育園指導者)
  全国に約60箇所ある檸檬会の認可保育施設のうち12の園で茶道指導が行われており、レイモンド庄中保育園(愛知県)は茶道指導のモデル校となっています。
  伊藤氏は発表のなかで、初めて茶道に接する子供たちへ、和菓子を通して日本の美意識を伝えるなど楽しんでもらうことを第一とし、作法の手順よりも、自分以外の人、ものを思いやる感謝の心を育むことに重点をおいていると発表されました。




<大徳寺聚光院利休居士墓参・金毛閣拝観>
  受講者は大徳寺に移動し、利休居士墓参と金毛閣拝観を行いました。台風の接近による雨天のなか、初めての墓参や拝観に深い感銘を受ける受講者もみられ茶道への志を新たにする機会となりました。また、昼食は大徳寺内で精進鉄鉢料理を味わいました。


<平成茶室呈茶・実技解説>
  平成茶室「聴風の間」では業躰部による心尽くしの一碗が呈され、涼やかなひと時を楽しみました。引き続き、裏千家学園3階にて、中村宗石今日庵業躰による割稽古・薄茶平点前の実技解説があり学生・生徒に指導する際のポイントをわかりやすく解かれ、その実践方法を学びました。


平成茶室での呈茶 実技解説

7月28日(日)
<分科会U>
  初日に続いて学校種ごとに分科会を開催。研修会も3日目ということもあり、受講者は互いに積極的に発言し、より踏み込んだ情報交換の場となりました。


<全体会>
  アドバイザーの永野宗骼≠フ進行で、分科会で話し合った内容を学校種ごとの代表9名が発表し、最後に淺沼宗博氏による総括がありました。


幼稚園・保育園(所) 小学校A 小学校B


小学校C 中学校 高等学校A


高等学校B 高等学校C 大学・短期大学・各種専門学校


淺沼氏による総括


<閉講式>
  閉講式では、野口耕一淡交会専務理事より、学校茶道指導者研修会の受講者を代表して吉田宗優氏(宇和島支部副幹事長)、また、学校茶道担当者講習会の受講者を代表して石川裕治氏(一般社団法人 三鷹学園理事)にそれぞれ修了証が授与されました。




  続いて、主催者を代表して野口専務理事より挨拶があり、その後、守谷宗礼氏(阪神支部副幹事長)が受講者を代表して謝辞を述べ、3日間に亘る研修会を終了しました。