第38回学校茶道指導者研修会

研究主題「日本を身近に ―今、茶道を通じて伝えられるもの―」


  7月12日(木)〜14日(土)の3日間、宗家・新・都ホテルを主会場に、第38回学校茶道指導者研修会を淡交会各支部学校茶道連絡協議会会員と今後学校での指導を希望する淡交会各支部会員を対象に開催し、過去最多の253名が受講しました。





【7月12日】
  開講式

家元挨拶

  「茶道指導者という位置づけは、保護者と学校教員の中間地点にあると思います。ときには先生、ときには身内となって、茶道指導を通じて子どもたちに感謝する心を育てて欲しい」と挨拶されました。





総本部報告 関根秀治裏千家事務総長・淡交会副理事長

  「学校茶道は、何よりも茶道を通じて良き日本人・良き茶道人を育成するものであるが、15万人の学生・生徒・児童などが学校でお茶を学び、茶道の入り口に立った人達が継続意識を持つよう、指導も考慮いただきたい」との話がありました。




基調講演 門川大作京都市教育委員会教育長・教育再生会議委員

「美しい国へ 教育再生」―伝統に学び 次世代を育む―

  全国の教育長から唯一教育再生会議委員に就任され、教育長の立場からだけではなく、国の教育・文化施策の目指す方向性の中から学校茶道に期待すること、そして京都市での学校茶道への取り組みについて語られました。





意見交換会T・U
  12日と14日の両日、学校種毎に10グループに分かれ、次のアドバイザーを座長にそれぞれが抱える問題点や茶道指導の事例発表など各会場で意見の交換が行われました。

  《座長》
大学・短期大学船生宗敏氏東日本国際大学教授
高等学校A 津留健二氏元沖縄県教育委員会教育長
沖縄女子短期大学非常勤講師
高等学校B中原宗正氏徳島県立新野高等学校教諭
高等学校C村田宗彰氏神奈川県立相模原高等学校校長
中学校A小関洋治氏前和歌山県教育委員会教育長
和歌山大学教育学部客員教授
中学校B名取宗康氏千葉県立多古高等学校教諭
正科 淺沼宗博氏前三重県立宇治山田高等学校校長
三重中京大学入試センター職員
小学校A波佐間宗清氏下関市教育委員会教育次長
小学校B永野宗隆氏高知市立追手前小学校校長
幼稚園・保育園山本宗義氏須磨浦学園長・同小学校校長・同幼稚園園長
                  

大学・短期大学 高等学校A


高等学校B 高等学校C


中学校A 中学校B


小学校A 小学校B


幼稚園・保育園 正科





【7月13日】
 講義T 中村哲 兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授

「和文化教育としての茶道の理念と作法」


  中村氏が理事長を務められ、「『和文化の風』を学校に」という活動フレーズで、学校への和文化教育の導入を提唱している和文化教育研究交流協会の設立意義・目的、各教育委員会の伝統文化教育への取り組みを踏まえ、学校における茶道教育の重要性について語られました。



 事例発表 糸川宗伸 大阪桐蔭高等学校茶道指導者

「茶道を通じて、日本文化の継承者を育てる〜学校茶道から青年部、そして世界へ〜」


  茶道部の様々な活動報告をはじめ、野球部部員をモデルに「挨拶の励行」ポスターを作成し、茶道部のみならずスポーツ部生徒を茶道を学びことから礼儀作法を身に付けているとの発表がありました。
  また、会場の外では、文化祭の茶会で使用した甲子園連続出場を機にメガホンで作った花入、全国高等学校ゴルフ選手権大会優勝を機にゴルフティで作った蓋置などが展示されました。






 利休御祖堂、聚光院利休居士墓参・拝観、三門拝観

  午後からは、宗家・大徳寺に移動し、小雨が降るなか参拝・拝観を行いました。






【7月14日】
 講義U 阿部宗正今日庵業躰

四規七則等を中心に、子どもたちに茶道を教える上で留意することについて分かり易く、語られました。




 全体会議

  名取宗康千葉県立多古高等学校教諭の進行により、意見交換会で発表された内容が発表されました。

  閉講式

  関根秀治裏千家事務総長・淡交会副理事長から受講者を代表して村司宗弘近畿第二地区学校茶道連絡協議会委員長・大阪北支部常任幹事・参事補に修了証書を授与。引き続いて木村宗浩大牟田支部監事・前同支部学校茶道連絡協議会委員長が謝辞を述べました。この3日間の研修会は、受講者にとって学校茶道への理解を深める機会となったことでしょう。