第37回裏千家ハワイセミナー
―ハワイ州政50周年記念献茶式―




  7月18日から27日まで、裏千家の夏の恒例行事である裏千家ハワイセミナーが開催され、13名の学校茶道の招待学生・生徒(大学生5名、高校生8名)を含む総勢83名が参加しました。
  今年は、1959年にハワイがアメリカ合衆国第50番目の州となってから50周年の節目にあたり、ハワイ州の公式行事として千 玄室大宗匠奉仕の平和を祈念する献茶式が行われました。また、ハワイ大学を会場に行われた2日間のセミナーは、多彩な内容の講義のほか大宗匠が自ら茶道実技講習の解説をされるなど充実したプログラムとなりました。
  恒例の淡交会ハワイ協会との交歓茶会や昼食会、ハワイ大学茶道部との交歓茶会なども催され、参加者は各行事を通じてハワイの同門社中との交流を深めました。



  18日午後、成田空港と関西空港からそれぞれ出発してホノルルに到着したセミナー参加者が一堂に会して結団式が行われました。大宗匠は「ハワイの青い空と海のもと、“一碗から平和”の心で過ごしてください」と歓迎の言葉を述べられました。


会場のハレクラニホテル「ガーデンテラス」


  翌19日は、ハワイ州庁舎州議会議事堂においてハワイ州政50周年記念献茶式がハワイ州の公式行事として執り行われました。
  ジョージ・有吉 元ハワイ州知事(淡交会ハワイ協会顧問)が司会をつとめられ、午前10時に開式。冒頭、日米両国の国旗とハワイ州の州旗が掲揚され、両国の国家、ハワイ州の州歌を斉唱。続いて大宗匠を心から歓迎する意のチャント(ハワイの伝統的な祈り)が詠われ、続いてリンダ・リングル ハワイ州知事、ムフィ・ハネマン ホノルル市長、國方俊男 在ホノルル日本国総領事がそれぞれ歓迎の辞を述べられました。
  ハワイの伝統楽器と日本の琴を用いた献茶式のための特別な楽曲が奏でられた後、大宗匠が点前座へ。ハワイ州政50周年を記念し、世界平和への祈りをこめて一碗を捧げられました。


チャント(ハワイの伝統的な祈り)


リングル知事 ハネマン市長國方総領事




有吉元知事と


  献茶式には、ワイヘエ元知事夫妻、カエタノ前知事夫妻、ムーン ハワイ州最高裁判所長官夫妻、セイ下院議長はじめハワイ州の要路の方々が多数出席されました。

  献茶式の後、旧ハワイ州知事公邸(ワシントン・プレイス)で記念昼食会が行われました。ジーン・有吉 元ハワイ州知事夫人の司会で開会した昼食会では、子どもたちによる愛らしいフラが披露され、出席者から大きな拍手が贈られました。
  ワシントン・プレイスはハワイ王国最後の君主・リリウオカラニ女王の住居としても知られ、現在は資料館として一般公開されています。昼食後には館内見学の機会も設けられ、ハワイの歴史を学ぶ良き機会となりました。





  20日、大宗匠の開会の辞でセミナー第1日目が開講。
  第1講はハワイ大学アートオディトリアムで行われ、元ハワイ大学総長で淡交会ハワイ協会名誉会長の松田富士男博士がハワイの日系移民の各世代に生じている文化的・社会的変化が文化や伝統を伝える組織に与える影響について解説。ハワイが真のパラダイスになるためには、多様な文化を維持し、それらをハワイの文化として統合していくことが重要であると述べられました。






  第2講は、イースト・ウェスト・センターに会場を移して茶道実技研修が行われました。
  味戸道雄団長(淡交会郡山支部副支部長)の挨拶の後、ハワイ協会会員が平花月、濃茶付花月の実技を行い、大宗匠自ら詳細な解説をされました。






  午後からは、日本文化センターでハワイ協会との昼食会・交歓茶会が行われました。

【本席】


【立礼席】


  21日、セミナー2日目の第1講は、イースト・ウェスト・センターのデニー・ロイ博士が担当され、今日の日米間の強い関係の背景について、太平洋戦争前後の両国の関係の経緯や問題点などを踏まえながら解説。戦略的土台を共有する両国が同盟関係を維持することの重要性を説かれました。
  第2講は、ハワイ州政50周年に相応しく、最も有名で尊敬されるフラの師(クム・フラ)の一人であるフランク・K・ヒューイット氏を招いての講義。ハワイの伝統的な詠唱・チャントから講義を始められたヒューイット氏は、創造主・カネの化身であると信じられる“水”が、ハワイで如何に尊ばれているかについて丁寧に説明されました。フラのパフォーマンスを交えながらの講義に参加者は熱心に聞き入りました。


ロイ教授ヒューイット氏のフラ

  修了式では、ハワイ大学アウトリーチ・カレッジ学部長のピーター・田中博士が閉講の辞を述べられ、2日間の聴講を終えた団員に、裏千家より大宗匠、ハワイ大学よりピーター・田中博士、イースト・ウエスト・センターよりデニー・ロイ博士からそれぞれ修了証書が授与されました。




  同日午後にはハワイ大学茶道部との交歓茶会が行われました。


【本席】(寂庵)


【立礼席】(ジェファーソン・ホール)


  夕刻からは、ヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジにおいて大宗匠主催晩餐会が盛大に開催され、日本からの参加者のほか、ハワイ協会会員やハワイ大学の学生などが大宗匠を囲んで和やかに交流を深めました。




  22日から24日の各日の午前中には、ハワイ出張所「汎洋庵」にハワイ協会会員による茶席が設けられ、セミナー参加者は心尽くしの一碗を味わいました。




  日本への帰国を翌日に控えた25日には、夕刻からブレーカーズ・ホテルのプールサイドでさよならガーデン・パーティーが行われ、参加者は名残りを惜しみながら最後の夜を楽しみました。


学校茶道の招待学生・生徒のパフォーマンス参加者皆でフラを踊りました