第41回裏千家ハワイセミナー



  7月18日(木)から26日(金)、ハワイにおいて第41回裏千家ハワイセミナーが開催。淡交会顧問の天江喜七郎氏を団長とする同門社中90名と、全国の大学・高等学校から7名の招待学生、生徒が参加しました。

  1972年、千 玄室大宗匠(当時、家元)よりハワイ大学へ茶室「寂庵」、茶庭「清苑」が寄贈されたことを機に第1回が開催された裏千家ハワイセミナー。41回目を迎える本年は、大宗匠、ハワイ大学教授、イースト・ウエスト・センター講師による講義、淡交会ハワイ協会、ハワイ大学茶道部との交歓茶会などの恒例行事に加え、ハワイ大学茶道部OBによる茶道実技、さらにカウアイ島においてカパア本願寺での献茶式をはじめとする淡交会カウアイ協会25周年行事が開催されました。参加者は各行事を通じてハワイの同門社中との交流を深めるとともに、茶道文化の広がりを実感する機会となりました。

結団式
  18日昼、日本、シドニー、バンクーバー等各地からホノルルに到着したセミナー参加者が一堂に会し、ハレクラニホテルのハウテラスにおいて結団式が行われました。大宗匠が歓迎のことばを述べられ、続いて天江団長が挨拶。団員は大宗匠を囲んで歓談し、セミナーに向けて互いに交流を深めました。

大宗匠挨拶

天江団長挨拶

淡交会カウアイ協会25周年記念行事
  翌19日、カウアイ島のカパア本願寺において、大宗匠奉仕による淡交会カウアイ協会25周年記念献茶式が執り行われました。ホノルルから参列の松本エリック ハワイ本派本願寺開教総長、高橋和法 カパア本願寺開教使が導師を務められる中、点前座に進まれた大宗匠は濃茶、薄茶二碗を謹点。本尊に捧げられました。



  献茶式にはバーナード・カルバルホ カウアイ郡長はじめ、デイビット・伊波カウアイ協会会長、黒川曙美ハワイ協会会長、カウアイ協会、ハワイ協会の同門社中、セミナー参加者等、約120名が参列。二碗が献じられると参列者は静かに合掌しました。



  献茶式後、夕刻よりグランド・ハイアット・カウアイにおいてカウアイ協会25周年記念茶会、式典・夕食会が行われました。

  ロビーに設けられた呈茶席ではカウアイ協会、ハワイ協会の同門社中がセミナー参加者をおもてなし。南国らしい取り合わせで参加者に一碗が呈されました。


  午後5時半からの記念式典・夕食会には献茶式に引き続き、来賓としてカルバルホ郡長が出席。伊波会長の歓迎の言葉に続いて、大宗匠が挨拶されました。また、協会から大宗匠にカウアイ島にちなんだ絵画が贈られました。

伊波会長挨拶カルバルホ郡長挨拶


  続いて永年協会の運営に携わってきた功労者9名に、大宗匠から表彰状が手渡されると会場からは大きな拍手が贈られました。

功労者表彰


《特別功労者表彰》《功労者表彰》
デイビット・伊波会長道岡利子氏
幸子・グロールマン副会長阿部友子氏
浅井晴美氏国岡裕子氏
西口のぞみ氏紀代子・コーアン氏
宮原佐喜子氏


  式典・夕食会では伊波会長、カルバルホ郡長からはそれぞれにカウアイにちなんだ歌が披露され、カウアイ協会会員がフラを実演。団員有志からカウアイ協会にお祝いの品物が贈呈されるなど、大変に和やかな雰囲気の中、日本とカウアイ、ハワイでともにお茶を学ぶ同門社中は大宗匠を囲んで南国の夜を楽しみました。

ハワイセミナー大学講義1日目
  21日、ホノルルにあるハワイ大学キャンパスセンターにおいてセミナーが開講。第1日目は、大宗匠が開講の辞に続いて「日本茶道の精神と美意識」と題して講義。パワーポイントのスライドを用いて分かりやすく解説され、「完全なものは美しいが、不完全なものもまた美しい」と語りかけられる言葉に、参加者は熱心に聞き入りました。


  第2講は、ハワイ大学ハワイ日本研究センター所長のメアリー・マクドナルド教授が日本と海外における稲作の歴史について話され、世界各地で行われている稲作の起源やそれに携わった先人の熱意と努力について解説しました。

マクドナルド教授


  この日の講義には重枝豊英 駐ホノルル日本国総領事夫妻、ジーン・有吉氏、松田富士男 ハワイ大学元総長・淡交会ハワイ協会名誉会長はじめ多くの来賓も出席、セミナー講義に耳を傾けられました。

  講義終了後、セミナー参加者はハワイ日本文化センターに移動し、ハワイ協会との昼食会。続いて、同会場内の茶室「星光庵」に設けられたハワイ協会との交歓茶会に臨みました。ハワイならではの趣向に富んだ茶席では、日米両国の懸け橋になるとの思いを込めた虹色のお菓子で一碗が呈されました。


虹をあしらった手作りの菓子


  同会場には立礼席も設けられ、参加者は貴重な交流の機会を楽しみました。


  同日夕刻からは、ヒルトン・ハワイアン・ビレッジにおいて大宗匠主催の晩餐会が開催され、重枝総領事夫妻、ジョージ・有吉元ガバナー夫妻、ジョン・ワイヘア 元ガバナー夫妻、米国海軍大将サミュエル・ロックリア夫人、トム・アップル ハワイ大学マノア校学長、松田 元総長・協会名誉会長、伊波会長はじめ多数の来賓、同門社中、現地関係者、セミナー参加者あわせて300名が出席。大宗匠を囲んで懇親の輪が広がりました。


重枝総領事挨拶アップル学長挨拶


黒川ハワイ協会会長挨拶 

夕食会には本年4月のワシントンDCにおける米国上院献茶式に尽力いただいたハワイ州選出のメイジー・ヒロノ上院議員から祝電が寄せられるなど、華やかな雰囲気の中、杯が重ねられました。

ハワイセミナー大学講義2日目
  22日、セミナー第2日目はハワイ協会、ハワイ大学茶道部OBによる花月之式の茶道実技研修が行われ、大宗匠自ら詳細な解説をされました。


  続いて、イースト・ウエスト・センターのロバート・ナカソネ講師が日本とハワイ、そして沖縄の歴史的関係について解説。参加者は両国の長年にわたる交流の歴史に耳を傾けました。

ナカソネ講師

  ナカソネ講師の講義でセミナー講義は終了。その後、裏千家、ハワイ大学、イースト・ウエスト・センターよりそれぞれ参加者に修了証が授与されました。また、ハワイ協会、ハワイ大学に団員有志から記念品が贈られました。

大宗匠より修了証授与


ハワイ大学、イースト・ウエスト・センターより修了証授与


  修了式後、大学内茶室「寂庵」においてハワイ大学茶道部との交歓茶会が行われました。茶会では紫芋を用いたハワイ大学茶道部伝統のお菓子でおもてなし。参加者はハワイの趣向とともに、セミナーの歴史を実感する機会となりました。





  隣接するイースト・ウエスト・センターにはハワイ大学茶道部OBによる立礼席が設けられました。



  23日、24日には裏千家ハワイ出張所茶室「汎洋庵」にて呈茶席が設けられました。和やかな雰囲気の中、団員たちはセミナー期間中の思い出などを語り合いました。



サヨナラ・パーティー
  大学でのセミナー終了後、7日間コースの参加者は帰国し、9日間コースの参加者はオプショナルツアーに参加するなど、思い思いにハワイを満喫。
  ハワイでの最終日の25日には、夕刻からブレーカーズホテルのプールサイドでサヨナラ・パーティーが行われました。



  ハワイアン音楽やフラダンスの即席教室、また天江団長からは子どもたちによるフラダンスであるケイキ・フラの余興の差し入れが披露。福引き、招待学生・生徒によるパフォーマンスなどで大いに盛り上がり、団員は最後の夜を心ゆくまで楽しんでいました。

ケイキ・フラの皆さん


招待学生による余興と、写真フレームの贈呈

  また、今回のハワイセミナー参加者一同より感謝をこめて、大宗匠にアロハシャツと寄せ書きが贈られました。翌日、参加者はそれぞれの思いを胸に帰路につきました。