7月20日(土)

 第2日目、午前9時より開始。研修T、Uと昼食をはさんで、シンポジウム、若宗匠と一問一答が行われ、感動の閉講式へ。その後はオプショナルの参加で『会員交流の夕べ』が催されました。

研修T 「私の茶道」 −アイデンティティーあるウイズアップ−
講師 龍門 功氏(岡山県公営企業管理者、淡交会青年部第5代全国委員長)

  龍門氏は、青年部会員の先輩としての立場から『温故知新』を基に話を展開。青年部活動の経験と感動を話され、「目標を持たない組織は発展しない。リーダーの心の持ち方一つで青年部は大きく変わる。高い目標をもって共に上を目指そうという気持ちと責任を持ってほしい」を熱く語りかけられました。



研修U 「新数寄者対談」
講師:大林剛郎氏(株式会社大林組代表取締役副会長)、筒井紘一氏(茶道資料館副館長)






  現代の数寄者像のあり方をテーマに、それぞれご自身の茶道観を披瀝。
  大林氏は、海外留学を契機に茶道に入門された経緯、ご自身の茶会での取り合わせの工夫、作陶への挑戦などを披露。今日的な茶道の楽しみ方を語られるとともに、「自分のお茶会では、お招きしたお客様同士が新たな出会いを楽しめる場であるように心がけています」と亭主の心構えを気負いなく述べられました。
  筒井氏は、明治から昭和にかけての茶会記から当時の数寄者の斬新な発想を紹介。さらにご自身の「能」をテーマとした趣向の茶会を話されました。
  二人のお話からさまざまな角度での茶道の魅力が引き出され、新しい“数寄”の可能性の広がりが示されました。

シンポジウム 「私の挑戦」
ナビゲーター 伊住宗晃宗匠
パネリスト:市川右近氏(歌舞伎役者)、辰野 勇氏(潟c塔xル代表取締役・冒険家・登山家)
中村公美氏(千家十職塗師、中村宗哲氏後嗣)



  各界で活躍されるパネリストのお三方それぞれ『挑戦』について語られ、時に会場は笑いに包まれました。縦横に広がる話題を、伊住宗匠がテーマに寄せてうまくナビゲートされて進行。
  市川氏は「スーパー歌舞伎の型破りに見える表現も古典の型ができていてこそ。それをふまえて、常に時代に合った魅力的な役者でいることに挑戦していきたい」。
  辰野氏は、自らの冒険家・登山家としての豊富な体験から「集中力・持続力・判断力を身につければ、可能性は無限に広がるのです」。
  中村氏は「使われる方の身になって創る作品の一つひとつが私の挑戦そのもの」。
  “挑戦”の中身は違えど、すべてにおいてその前提となる基本・入念な準備が必要であるという点では同じ。それぞれの人柄がうかがえる語り口で、ご自身の生き方を熱く語りながらも会場の参加者へエールを送られました。

若宗匠と一問一答
  若宗匠が参加者から事前に寄せられた質問の一つひとつについて、丁寧に回答されました。裏千家茶道、これからの青年部活動等、様々な質問に対して限られた時間に逐一当意即妙なお答え。
  青年部活動に関する質問では「ポジティブに考え、まず自分で動くこと。壁にぶつかり乗り越えて得た喜びをもって、自信ある態度で人に語り示していくことが大切です」と諭されるなど、予定の時間もオーバーされるほど。質問した参加者たちは一つひとつのお答えに感動した様子。
  若宗匠は「溢れる情報に翻弄されることなく、大きな視野をもってお茶を学ぶことが大切です。この一問一答は、サマーコンファレンス参加者一人ひとりが持ってきたお道具(質問)に書付をするつもりで答えました。どうぞ大切に持って帰ってほしい」と結ばれました。




閉講式
  2日間の日程を無事終えて、閉講式が執り行われました。
  若宗匠より各ブロック代表に修了証を授与。続いて参加者を代表して原 昌三実行委員より「2日間の大きな学びとすばらしい出会い。心の絆を確認し深めることによって裏千家茶道のよさを改めて体感しました。今何をなすべきかという若宗匠の問いかけに、今度は私たちが応えていかなければなりません。行動を起こしましょう」と感極まりながらの謝辞。
  若宗匠は、「このサマーコンファレンスは、先達の手を借りずに私たちが初めて立案し終了させたものであり、若宗匠として一つの核となる行事となりました。この思いをこれからの私のお守りとして斯道のために努力していきたい。みんなで大きな一歩を踏み出したのです、共に次の段階へ進んでいきましょう」と語りかけられました。
  参加者たちは、若宗匠の言葉を受け、それぞれの思いを胸に皆感激の面持ちで、最後は拍手をもって締めくくりました。

若宗匠よりブロックごとに修了証の授与 原 昌三実行委員より謝辞

若宗匠のご挨拶に、感動は最高潮

会員交流の夕べ
  涙と感動に満ちた閉講式終了後、全国委員正副役員が主管する『会員交流の夕べ』へと移り、今回の参加者約380人が出席。
  若宗匠、伊住宗匠を迎え、サマーコンファレンスの成功を祝い、大いに盛り上がりました。

江戸太神楽の獅子舞がにぎやかに登場 朝田善三実行委員長の感謝の挨拶

威勢よい鏡開きの後、伊住宗匠が乾杯の発声


  宴は、再び江戸太神楽の曲芸や、福引などがにぎやかに行われました。参加者たちは名刺を交換したり語り合ったり、時の経つのを惜しむかのように交流。
クライマックスはそのまま、ブロックごとの二次会へ引き継がれていきました。