第10回茶道文化賞
―淡交会第119回全国総会において表彰―


大宗匠と茶道文化賞受賞者:梶田叡一氏 茶道文化振興賞受賞者: 内田 繁氏、麹谷 宏氏
杉本貴志氏、黒川雅之氏(左から)


  第10回茶道文化賞は、昨年10月18日(火)に選考委員会を開催し、茶道文化賞に梶田叡一氏、茶道文化振興賞に茶美会グループの内田 繁氏、黒川雅之氏、麹谷 宏氏、杉本貴志氏を決定しました。
  2月27日(月)に開催の淡交会第119回全国総会の席上において、千 容子副理事長より選考経過と受賞者が発表され、千 玄室大宗匠、千 宗室家元より表彰状と楯、副賞が贈呈されました。

選考経過を説明される千 容子副理事長


○茶道文化賞:梶田叡一氏(環太平洋大学学長)

謝辞を述べられる梶田氏
<受賞理由>
  一貫した教育理念のもと、学校教育の現場に「伝統と文化の尊重」及びその具現化の推進に努め、茶道をはじめとする我が国の伝統文化の導入と必要性を説く。淡交会巡回講師として斯道の興隆を推進するとともに、淡交会が主催する学校茶道担当者講習会・学校茶道指導者研修会の講師として、学校茶道の果たす役割と重要性を広く紹介してきた。
<略歴>
  京都大学文学部卒業、文学博士。大阪大学教授、京都大学教授、京都ノートルダム女子大学学長、兵庫教育大学学長などを経て現職。また中央教育審議会委員(文部科学省)として第4期、第5期副会長などを歴任。日本語検定委員会理事長や鳥取県県政顧問も務める。研究の中心は自己意識心理学。


○茶道文化振興賞:茶美会グループの各氏
<受賞理由>
  故伊住宗晃宗匠が提唱した茶美会グループ創設当時(1992年)からの賛同者として「もてなしの心」「仕え合いの心」を基礎とする衣食住における様々な企画やアイデアを発信し、新しい生活文化デザインを提唱、茶道文化の発展に大きな貢献をしてきた。茶室制作においても伝統的な美意識や価値観を調和させた斬新なデザインで反響を呼んでいるほか、活動を通して多くの若手後継者の育成に努めている。
<略歴>(50音順)
・ 内田 繁氏(インテリアデザイナー)
  2008〜11年専門学校桑沢デザイン研究所所長。日本を代表するデザイナーとして幅広い活動を展開するほか、茶室研究、日本文化研究、近代デザイン論をまとめ、教育活動や世界の大学等で講演、現代の茶室や茶道具等の発表を通じて世界的な評価を受けている。代表作に神戸ファッション美術館、オリエンタルホテル広島のほか、茶室、茶道具など多数。

・ 黒川雅之氏(建築家、プロダクトデザイナー)
  黒川雅之建築設計事務所主宰、物学研究会主宰、デザイントープ主宰、株式会社K CEO。京都精華大学客員教授、名古屋造形大学客員教授、中国・復旦大学客員教授、金沢芸術工芸大学 芸術博士。日本インダストリアルデザイナー協会、日本デザインコミッティー会員、日本建築家協会会員、日本文化デザインフォーラム会員など。

・ 麹谷 宏氏(グラフィックデザイナー)
  大阪でデザインを学び早川良雄・田中一光の関西二大泰斗の薫陶を受ける。銀座松屋宣伝部を経て、1967〜70年フランス・デルピールの招聘によりパリ在住、ワインと出会う。1980年「無印良品」の企画と開発デザインに参画し時代のライフスタイルを提案。1998年「ワイン茶会」を創案、2010〜12年東大寺二月堂「桜とワインの茶会」(六志会)主宰。
  淡交会東京第三西支部副支部長。

・ 杉本貴志氏(インテリアデザイナー)
  東京藝術大学美術学部卒業後、1973年(株)スーパーポテトを設立。商業空間のデザインを数多く手がけ、バー、レストラン、ホテルの内装デザインから複合施設の総合プロデュースまで幅広い分野で活躍。主な作品に「春秋」「響」「ジパング」等の飲食店の内装設計、パークハイアット(ソウル、北京)、グランドハイアット(シンガポール、上海、東京)、ハイアットリージェンシー(京都、東京)、シャングリラ(香港、上海)、べラジオ(ラスベガス)等ホテルのインテリアデザインがある。武蔵野美術大学名誉教授。


◇選考委員
  千 容子氏(家元夫人・淡交会副理事長)
  熊谷信昭氏(兵庫県立大学名誉学長・大阪大学名誉教授)
  小坂 敬氏(株式会社小松ストアー社長)
  坂本眞一氏(北海道旅客鉄道株式会社相談役)
  芳賀 徹氏(東京大学名誉教授)
  八村輝夫氏(株式会社鳥取銀行特別顧問)
  日野西光尊氏(中宮寺門跡)