第52回東北地区大会
青い森と海の街に集う


  6月13・14日、青森市において、千 宗室家元夫妻、伊住弘美様が出席され、第52回東北地区大会(大会会長:辻 兵吉東北地区長・秋田支部長・淡交会理事・今日庵老分)が開催されました。(主管:青森支部、櫻田 高支部長)
  淡交会理事の大谷宗裕氏、青森県知事の三村申吾氏、青森市長の佐々木誠造氏、衆議院議員の木村太郎氏、亀岡偉民氏(福島支部副支部長)はじめ多数の来賓、地区内外より2500人を超える同門社中が参加しました。
  今大会は辻地区長が欠席のため、藤井黎副地区長(宮城支部長)が地区長代理を務めました。

●大会日程
  13日は、ホテル青森において14時30分より「準教授・茶名拝受者・新入会員のつどい」、「正副支部長・幹事長会議」、17時30分より「懇親会」を開催。翌14日は9時30分より青森市文化会館にて「大会式典」。また、13・14日の両日にわたり「記念茶会」が催されました。





●記念茶会
  ホテル青森に濃茶席(青森支部黒石分会担当)と薄茶席(八戸分会担当)、文化会館に薄茶席(弘前分会担当)と立礼席(学校茶道・青年部担当)、香煎席(十和田分会担当)の計5席が設けられました。

◇濃茶席(担当:青森支部黒石分会)
  待合には、青森市出身の世界的版画家 棟方志功筆の三尊佛と直筆書簡。
席中にはお茶の香が満ち、来席者は心尽くしの一碗を堪能しました。



◇薄茶席(担当:青森支部八戸分会)
  八戸分会は、点茶盤の設えでお客様を迎えました。花入(善五郎造)には、笹百合、破れ傘と地元の花「かもめつる」が。小さな紫の花に、この日のためのもてなしの心が込められています。



待合には、地元の「()(じょう)焼」の作品を展示


◇薄茶席(担当:青森支部弘前分会)
  席に入ると、弘前の「ねぷた祭り」を趣向にした設えが目に飛び込みます。正面には「三国志」と「水滸伝」に因んだねぷたのスクリーン。お菓子も祭りの扇ねぷたをかたどったものです。8月の祭り本番を前に、一足早く弘前の夏の風情を味わえる嬉しい席となりました。


中村祖順老師筆「露堂々」


◇立礼席(担当:学校茶道・青年部担当)
  青森支部内の四青年部(あすなろ・阿房宮・津軽野・十和田)と、学校茶道で学ぶ幼稚園児から大学生までが協力して担当。園児が丁寧にお茶を運ぶ姿には、思わず顔がほころびます。
  正面のスクリーンはブルーからグリーンへのグラデーション照明で青い海と森の緑に恵まれた国・青森を表現。青森への郷土愛溢れる席となりました。



三内丸山遺跡をイメージさせる
縄文時代風の衣装でお客様をご案内

  学校茶道の参加校は、すぎの子幼稚園・青森県立青森中央高等学校・青森県立青森西高等学校・青森県立八戸高等学校・青森県立平内高等学校・青森山田高等学校・向陵高等学校・柴田女子高等学校・青森公立大学・東北女子大学・弘前大学医学部のみなさん。


◇香煎席(担当:青森支部十和田分会)
  香煎席では、りんごの果肉入りのお菓子とりんごの花湯が好評で、「もう一服いただきたいくらい美味しい」との声も聞こえるほど。笑顔のたえない席となりました。






●つどい・会議
  13日午後、宗家方は文化会館での記念茶会3席を廻られた後、「準教授・茶名拝受者・新入会員のつどい」に出席。家元は、ご自身が稽古場に座り始められた頃のエピソードを交えながら出席者を激励されました。
  準教授・茶名拝受者代表の佐藤宗真さん(青森支部)による謝辞、新入会員代表の三浦良子さん(同支部)の「誓いの言葉」では、修道への新たな決意が力強く示されました。


準教授・茶名拝受者代表謝辞 新入会員代表誓いの言葉

  続いて家元は、「つどい」と同時に進行中の「正副支部長・幹事長会議」に出席。
  地区大会の開催にあたり、感謝の辞を述べられました。



●懇親会
  午後5時30分からは、ホテル青森において「懇親会」が催されました。藤井地区長代理、櫻田支部長の挨拶に続き、来賓を代表して木村太郎衆議院議員、佐藤健一青森市副市長から祝辞。藤森英二副地区長(郡山支部長)による乾杯の後、家元は全出席者585名との記念撮影に臨まれ、千葉満青森支部副支部長による中締めの挨拶で閉会しました。

藤森副地区長による乾杯 千葉副支部長の中締めの挨拶

懇親会の誘導係は青森ねぶた祭りの「ハネト衣装」で

  また、午後6時45分からは青年部東北ブロック(高橋宗進ブロック長)主催の懇親会が開催。
会場にはねぶた囃子が響き、賑やかな踊りの輪が広がりました。
青年部ごとに家元との記念撮影も行われ、和やかな会となりました。






●大会式典


  翌14日の大会式典は9時30分より、文化会館において挙行。
開会直前に岩手・宮城内陸地震がありましたが、会場に被害がないことが確認されたため予定通り開催されました。
  第一部「お茶湯の儀」。家元が大会の開催を利休大居士、歴代宗匠に奉告、ご遺徳を偲ばれるとともに、今大会を前にご逝去された盛田宗駿特別参事、栃内松四郎元岩手支部副支部長はじめ物故会員の霊位に対して捧げられた一碗に、一同も静かに合掌しました。


  第二部「式典」では、主催者を代表して藤井地区長代理の挨拶に続き、櫻田支部長が歓迎の挨拶。川村登参事(岩手支部副支部長)より発表された大会決議に基づいて、青森市に金一封が贈呈されました。

藤井地区長代理挨拶 櫻田支部長挨拶

  家元は、岩手・宮城内陸地震直後という状況下、式典に出席の三村青森県知事、佐々木青森市長を気遣われて自身の挨拶を後回しされ、先に知事・市長が祝辞。
  三村知事は祝辞で「県知事として各地を訪問しお茶をいただくと、それぞれの一碗に込められた愛情を感じ、改めて職務に向かう力をもらっています。茶道の世界が今後も発展し、多くの方の心を癒して、世界の平和が築かれることを願っています」と述べられました。
  また、佐々木市長は「いつか住んでみたい街、文化の薫り高い街を目指す青森市にとって、本大会の開催は誠に意義深いことです。折角お越しいただいた深緑の青森を是非楽しんでいただきたい」と挨拶をされました。
  また、大会決議により来年度の第53回東北地区大会は秋田支部の主管で開催されることが決定。秋田支部 村岡兼幸副支部長が「是非、秋田の満開の桜のもと皆様をお迎えしたいという思いから、来年は4月に開催いたします。一年間準備を重ね、春の秋田で皆様をお待ちしております」と述べられました。

  第三部「表彰会」では、冒頭で千 容子家元夫人が、前日に廻られた記念茶会の各席を振り返りながら「青森ならではの趣向を凝らした席を楽しませていただきました。地元に根付いて制作を続けている方の作品に光を当てるのはとても大切なことだと思います。これからも、皆さんで地元の方々を育てていっていただきたい」と挨拶をされました。
  続いて、家元より各賞が授与され、会場は祝福の拍手に包まれました。


  第四部「特別ご講演」は家元が登壇。家元は、「昨日の記念茶会の折、青森の水で点てたお茶をいただきましたが、穏やかな柔らかい味で、大変美味しく頂戴しました。高名で普遍的な名水だけでなく、自分にとっての名水をもつ心の自由が、ひいてはその人の感性を育てるのだと思います」と語られました。


  岩手・宮城内陸地震により新幹線が不通となるなど交通機関が大きく乱れ、式典に出席した会員も帰宅が遅れるといった影響が出ました。
  亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、罹災された地域の一日も早い復興を祈念いたしております。