第35回東京地区大会
文豪・森 鴎外ゆかりの文京区で、
千 宗之若宗匠、家元継承発表後、初の地区大会に1800人

東京ドームホテル


  錦秋の素晴らしい天候に恵まれた10月11・12日の両日、東京都文京区において、社団法人茶道裏千家淡交会第35回東京地区大会(内海 倫大会会長)が開催されました。主催は関東第一地区(内海 倫地区長・牛尾治朗副地区長・田村秀昭副地区長・本庄八郎副地区長・五島 哲副地区長)、主管は東京第一東支部(押見守康支部長)。

  千 宗之若宗匠は家元継承の発表後、初の地区大会に臨まれ、来賓はじめ裏千家同門社中より祝福を受けられました。
  「支部長・幹事長会議」、「懇親会」、「大会式典」の挨拶の中で、内海地区長は、若宗匠が来年1月1日に16代家元を継承されることに言及され、「裏千家の新しい歴史が始まろうとしています。私たちも心を新たにして、16代家元を継承される若宗匠からお教えを受けていきたいと思います」と挨拶。

  晩秋の季節感溢れる茶会や記念式典は、慶祝の雰囲気に包まれて、参加者のさわやかな表情が印象的でした。

  本地区大会には、行政改革・規制改革担当大臣の石原伸晃氏、内閣府副大臣の伊藤達也氏、財務副大臣の小林興起氏、元厚生大臣で衆議院議員の菅 直人氏、衆議院議員で元郵政大臣の八代英太氏、衆議院議員の下村博文氏、伊藤公介氏、松原 仁氏、参議院議員の小野清子氏、文京区長の煙山 力氏、杉並区長の山田 宏氏、東京都三宅村助役の野村忠志氏、はじめ多数の来賓方、また、老分の松平忠晃氏、堀部公允氏・湯淺暉久氏、五島 哲氏、本庄八郎氏、四国地区地区長の石川良彦氏、東京地区内の同門ら約1800人が参加。


記念茶会

  山本宗嘉・東京第一東支部副支部長担当の濃茶席、押見守康・東京第一東支部長担当の薄茶席、同支部あずま青年部・すみだ青年部担当の立礼席、同支部学校茶道担当の香煎席がドームホテルに懸かり、それぞれに季節感溢れる趣向やこの地ならではの言い伝えをテーマとした取り合わせが喫客の心をなごませ魅了しました。


濃茶席 薄茶席


青年部担当の立礼席 学校茶道担当の香煎席


  <学校茶道部席の参加校>
  市立船橋高等学校・駒込学園高等学校・貞静学園高等学校・四ッ木中学校・
  上野高等学校・千葉商科大学・お茶ノ水女子大学


準教授・茶名拝受者・新入会員のつどい
正副支部長・幹事長会議

  11日午後2時00分からドームホテル「天空ノース」において開催。 準教授拝受者80人、茶名拝受者137人、新入会員167人、合計384人が参加し、若宗匠から励ましの言葉を受けました。 若宗匠は、マザーテレサの言葉を引かれながら「『愛の反対は無関心』。 私たちは、何事に対しても関心を向け、この道の修道に励むことが大切です」と話されました。また、若宗匠が二人目の老師に参禅されていた折、「若宗匠、世の中から『優しさ』が少なくなってきていますよ。よろしく頼みますよ。」と老師より託されたお話を紹介され、「自分を認め、自分を好きになり、それで、初めて人を認め、人を好きになることができるようになります。この言葉を贈り、私の挨拶といたします」と結ばれました。

  これに対して、準教授・茶名拝受者を代表して、東京第一東支部の佐々木宗弘氏が、また、新入会員を代表し同支部の関根一代氏が、それぞれ謝辞と誓いの言葉を述べました。


正副支部長・幹事長会議で挨拶される若宗匠


若宗匠の前で新入会員を代表し、誓詞を述べる関根氏


懇親会 石原伸晃行政改革・規制改革担当大臣の
ご挨拶


懇親会にて乾杯のご発声をされる五島 哲氏


大会記念式典

  翌12日、午前10時から文京シビックホールにおいて大会式典を開催。
  若宗匠は、お茶湯の儀を厳修され、第35回東京地区大会の盛会を利休大居士・歴代宗匠に奉告されると共に、そのご遺徳を偲び、一碗を利休居士画像に捧げられました。


文京シビックホール


若宗匠によるお茶湯の儀


  主催者を代表して、内海地区長が「文京区は文化発祥の地。この地で地区大会が開催されることは、大変意義深いことと思います」と挨拶。


内海地区長挨拶


  また、担当の東京第一東支部の押見支部長が「ご宗家のお心を心とし、一人でも多くの人たちに茶道の精神を伝えていくことが大事であると思います」と述べられた後、続いて、前日の「正副支部長・幹事長会議」での大会決議に基づき、今大会を記念し、三宅島火山噴火による被害を受けておられる方々への支援の意を込め、「三宅島被災義援金」が内海地区長から三宅村助役の野村忠志氏に贈呈されました。



宗家とのつどい


  続く、宗家ご挨拶では、16代家元を継承される若宗匠が、前日のお茶会に触れられ、「鳥居の香合などを拝見し、今日の地区大会はきっとご利益があります」とユーモアを交えながらご挨拶されるとともに、「力まず、飾らず、背伸びをせず、今まで通りの姿で勉強していこうと思います。また、これからの茶道には、多くの期待が寄せられています。皆さんも、一日一日を大切に、自信を失わず、誇りをもって歩み、それを進化・発展させていただくことを祈念しています」と今後の修道の指針を示されました。


■ 若宗匠特別ご講演
■ 素直に挨拶ができる子どもたちに―未来のために

若宗匠特別ご講演


  「私も皆さんも、利休の申し子。利休居士が先発ピッチャーとすれば、15代目のピッチャーが鵬雲斎家元。16代目が私となります。ゲームを壊さないよう、次の時代に引き継げるよう『研究心』と『なぜという疑問』を持ち続けていきたいと思います。
  淡交会は、市民茶会や学校茶道を通じて、地域社会に貢献していますが、私たちには、素直な子どもたちを育てる役割があります。目線を同じ高さにするというのが日本の美徳です。お茶を通じてこのようなことを学んでいただくよう期待しています」