第45回東海地区大会
―日本の象徴・富士山の麓につどう―




  4月17・18の両日、静岡県富士市において、千 宗室家元が出席され第45回東海地区大会(主管:富士支部)が開催されました。
  大会には、大会会長の辻正地区長、大会名誉委員長の斉藤斗志二名誉支部長、大会委員長の牧田一郎支部長はじめ富士市長の鈴木尚氏、富士宮市長の小室直義氏、富士商工会議所副会頭の佐野廣彦氏、淡交会理事の大谷宗裕氏、東海地区内外より総勢1800名の淡交会会員・同門社中が参加しました。


● 会議・つどい(於:富士市文化会館ロゼシアター 中ホール・小ホール)
  4月17日正午から午後1時まで、「準教授・茶名拝受者ならびに新入会員のつどい」が行われました。家元は、中国の高僧・百丈和尚の言葉“一日不作、一日不食”を引かれ、「この教えは、“働かざるもの食うべからず”という意味ではなく、自分自身との約束、けじめをつけるということ示されたものです。茶の湯においても、自分がなすべきことをしてこそ、その分に応じた楽しみが得られるものです。自分に足りないものは、自分で良くお分かりになると思います。自分の目で、しっかりと自分自身を見つめてください」と参加者に語りかけられました。


準教授・茶名拝受者代表「謝辞」
富士支部 鈴木宗尚氏
新入会員代表「誓いの言葉」
同支部 荻 浩美氏

  また、12時半から13時半まで、淺沼宗博地区委員長の進行で「正副支部長・幹事長会議」が開催され、議長に辻地区長選出して議案審議を行いました。




● 大会式典(於:富士市文化会館ロゼシアター 大ホール)
  同日午後2時より、大会式典を挙行。
  第1部「お茶湯の儀」では、家元が大会の盛会を利休大居士、歴代宗匠に奉告、ご遺徳を偲ばれるとともに物故会員の霊位に対して捧げられた一碗に、参加者一同も静かに合掌の心を重ねました。




  第2部「式典」では、今期より東海地区地区長に就任された辻正氏(岐阜支部支部長)より主催者を代表しての挨拶、その後、牧田一郎支部長より歓迎の挨拶がありました。引き続き「正副支部長・幹事長会議」の席上で承認された大会決議が発表されるとともに、今大会を記念して、辻地区長より富士市と富士宮市に金一封が贈呈されました。
  家元の挨拶に続いて、来賓の鈴木尚富士市長、小室直義富士宮市長より祝辞。来年度地区大会主管支部となる岐阜支部の大松利幸副支部長による挨拶で式典は閉会しました。



辻地区長挨拶

  第3部「表彰会」では、家元より淡交フェロー・特別表彰・学校茶道永年勤続者表彰・優良会員表彰・会員増強部門・青年部正会員増強部門・継続会員部門の各賞が、また辻地区長より地区長表彰が受賞者に贈られ、会場は拍手に包まれました。
  第4部「特別講演」は家元が登壇。家元は、文化には生活のなかの“一息つける場所”としての役割があると語られ、「互いに相手を批評家の目で見てしまうと、皆が疑心暗鬼になってしまいます。自分に合わない部分ばかり気にしていては、本当に良い部分を見逃してしまいます。相手のなかに何かひとつ良いところを見つけられれば、必ずそれを足がかりに人間関係を深めることができるのです」と、今後の修道における指針となる心構えをわかりやすく説かれました。


● 懇親会(於:ホテルグランド富士「孔雀の間」)

  午後5時30分より行われた懇親会では、冒頭、辻地区長が朗々と謡曲「猩猩(しょうじょう)」を披露。

  衆議院義員の斉藤斗志二富士支部名誉支部長も東京から駆けつけられ、祝辞を述べられました。牧田支部長、家元の挨拶に続き、浜松支部の平野新太郎支部長の発声で乾杯。
  家元は各席を回り記念撮影に応じられるなど、会員方と和やかに懇談されました。


斉藤名誉支部長挨拶 牧田支部長挨拶



● 記念茶会(於 富士市文化会館ロゼシアター)
  大会期間中、ロゼシアターに記念茶会の各席が設けられました。

【展観席より】

尻張 泉涌寺常什文字入り
天正与次郎作           
茶碗 黒 不二絵 一方堂作 地元作家による多賀・紙人形展示


【濃茶席】渡邉宗実氏(富士支部参与)担当


菓子「緑立つ」田子の月製


【濃茶席】久保田宗恵氏(富士支部参与)担当


待合床 玄々斎筆短冊「東路や名におふ富士を見しかひは
                        きみか恵みをうけてこそなれ」
香合 蛤 玄々斎在判 短冊添


【薄茶席】支部・青年部担当
広い空間を共有して、親支部と青年部が薄茶席を設けました。



菓子「さくや姫」もちの木製

青年部卒業生手造りの「富士山棚」と鷹蒔絵大棗、肥前焼の水指で「一富士、二鷹、三茄子」のお目出度い取り合わせ。茶碗は、モンゴルの土で斉藤斗志二名誉支部長が作られたもの。(銘「野遊」)


【ふれあい席】学校茶道連絡協議会担当


富嶽学園日本建築専門学校、県立吉原工業高等学校、県立富士高等学校、県立富士東高等学校、市立吉原商業高等学校、県立富士宮北高等学校、県立吉原高等学校、私立富士見高等学校、NPO法人富士市手をつなぐ育成会の生徒67名が参加。
緊張しながらも、学生らしい爽やかなおもてなしで参加者の心を和ませてくれました。

富嶽学園日本建築専門学校の生徒が制作した今日庵写の茶室前にて


18日にはヴァイヴァルス駐日ラトビア大使が来席 志野流香道の体験の機会も設けられました