贋作茶道具にご注意!
─インターネット・オークションに多い、ニセ物茶道具―


  最近、大宗匠、家元、歴代宗匠方の軸や茶杓、箱書などの贋作(にせもの)が多く出回っています。中でもインターネット・オークションでは、大宗匠、家元の名前を巧みに利用して本物であるかのような説明を加えて出品しているようなケースも見られます。また、実際は贋作を購入されていても第三者に鑑定してもらうまではニセ物と気付かない場合もあるようです。
  一部の心ない人々の出品による被害が増えないことを願い、敢えてオークション取引の注意点を揚げてみました。ここに紹介している項目が、その出品物に当てはまる場合は注意が必要であり、該当する項目が多ければ多いほど贋作である可能性が高いことになります。
  インターネット・オークションは写真と説明だけで出品物を判断して入札・落札(購入)するシステムのため、特に茶道具等は贋作が出品されやすいことを今一度ご認識願います。茶道具は信用あるお店での購入をお勧めします。


出品物の説明文について
・  「家元の極書あり」と説明されているものがあります。そのように書かれていながらそれにあてはまるものは写真にはありません。勿論、出品物の箱には家元の花押は見あたりません。素人ならともかく業者であれば「箱書」の意味はよく知っているはずです。
また、当代はじめ歴代宗匠方の偽書きによる箱書もあるようです。


出品物の写真について
・  妙に不鮮明に撮影されているもの、焦点がぼけているもの、暗く写っているもの、そして不自然に色の付いたものは注意が必要です。

・  真贋を見極める重要部分の写真並びに接写拡大の写真がないものは注意が必要です。


出品者について
・  出品者に対する評価が高い場合でも、その評価内容をよくご覧ください。すぐに届いた、丁寧に包装してあったという商品受領に関する内容とともに、真贋に関する評価を確認してください。
評価のコメントに「調べた結果、贋作だった」というクレームはありませんか。そしてそれに対する出品者の対応はどうでしょうか。信頼できる対応が取られていますでしょうか。

・  出品者の過去の取引を確認してみてください。僅かな期間に多数の出品がなされていませんか。
中には、短期間に多数の取引を行い、"危険"を感じると新たなIDを取得するケースもあるようです。

・  特に高い評価の出品者は、個人ではなく「業者」(プロで営業している者)の可能性が高く、「自分は茶道についての知識が無いので真贋については分からない」と微妙な表現をしているものがあります。

・  業者が真作(ホンモノ)を出品する際には、いわゆる「仕入れ価格」が1つの基準になる筈です。「出品する以上、少しでも利益を上げたい」と考えるのが商売の鉄則です。仕入れ価格に少々上乗せした額で出品されるのが普通と言えます。あまりにも低い金額でのスタートや、安価で落札されようとしているものには特に注意が必要です。