伊住宗晃宗匠 岡山市のシェ・レポでご講演
『日本的―美しい生活』と題して
日本の美しさ、茶道の心を分かりやすく


  真夏の陽の中、木槿も鮮やかな7月27日、伊住宗晃宗匠は、岡山市のシェ・レポ CHEZ REPOS主催のセルフ・エスティ―ム セミナースペシャルにおいて『日本的―美しい生活』と題する講演会に臨まれました。

「自分を見つめ、自分を慈しむ時間を持ちたい。      
 自分の心や体の健康 幸せについて考えてみたい。」

  そんな女性を対象にシェ・レポは、伊住宗匠を囲むセミナーを企画。

講演会会場 シェ・レポ


  主催者側は、伊住宗匠の講演を通じ「女性が外見だけでなく、内面も豊かに生きていくために感性を磨き、身の回りのものや自然をどう慈しみ大切にしながら暮らしていけばよいか、また、日本の美しさや、丁寧に暮らすことの大切さを現代の女性が考えるヒントになれば」と今回の企画の目的を説明。



  講演に臨まれた伊住宗匠は「日本的って何だろう?」という問いかけから話を説き起こされ、日本文化の特徴や豊かなコミュニケーションのために今、何が必要かを参加者に分かりやすく語られました。


季節感・言葉の深みを大事に
  「日本文化の前提条件として『季節感』があります。そして、人間が自然を征服するのではなく、自然の中で生かされているという感覚を大切にしてきたことが西欧の自然観との根本的な違いです。このような四季折々の季節感を背景に、日本人が暮らしの中で培ってきた日本語の表現力の豊かさには鋭い感性に根づいた素晴らしいものがあります。
  しかし、今の時代は、表現の送り手も受け手も、言葉の深みがなくなってきている。豊かな言葉・豊かな表現で会話をすることが大切です」


失われつつある自然の気配(ケハイ)こそ日本人の原点
  「子どもの頃から微妙な襞を日本人の心の中に盛り込んできた日本人の住環境が失われつつあります。礼儀作法も自然に身につく畳の空間をはじめ床の間・障子・縁側など日本人の感性・感受性を育むような空間が日本の住まいの特徴でした。
  サトウハチローの作品に『小さい秋』があります。今はそうした自然の変化や気配に気付く装置が消えつつあります。日本人が培ってきたこのような智恵を生かす場所の工夫や自然の気配を大切にしていくことが求められています。」


プロセスを大切に
  「『躾』が大事と言われます。しかし、すぐには綺麗にはなりません。今の日本人はすぐに結果を出さないといけないと思い込み過ぎている。
  『道』というのは、たくましく美しく人間を育て上げるプロセス。そのプロセスこそ大事です。すぐに結果を出すのではなく、『待つ』ということ、『積み上げていく』ということが美しい人格を形成していくためには欠かすことが出来ません。
  その結果、その人からにじみ出て来るものがホンモノです。エイジングという言葉があります。『さび』という言葉もあります。古びたものにも価値を見出そうとしているのが日本。にじみ出て来るもの。それが日本人の心の豊かさを創り上げてきたものです。」


  内面から美しさがさりげなく伝わるエレガンスさは、女性の最高の魅力。この講演会で日本の美しさや茶道の魅力を発見した参加者の表情は生き生きと輝いていました。