北東アジア交流プロジェクト
京都シンポジウム「海を越えた環境協力」
千 宗室家元がパネリストに


  爽やかな秋の好日となった10月18日、京都市左京区の国立京都国際会館で「北東アジア交流プロジェクト 京都シンポジウム」が開催され、千 宗室家元がパネリストとして出席されました。




  この催しは、京都新聞社など日本海に面する地方紙10社と自治体、商工会議所連合会などで構成された北東アジア交流海道2000キロ実行委員会の主催。1997年12月の地球温暖化防止京都会議(COP3)、2003年3月の第3回世界水フォーラムが開かれた京都において、産業・科学技術の発達や世界の人口増などに伴って、危機にひんする地球環境をどう守り、次世代に伝えていくかを、北東アジア諸国との環境交流のあり方を通して考えようという取り組み。
  家元は、水フォーラム京都実行委員会が発表した京都水宣言の起草委員も務められました。





開会で挨拶される山田啓二京都府知事





真剣な討論に聴き入る聴衆


  京都大学経済研究所所長・佐和隆光氏が『地球環境の保全と経済発展―京都からのメッセージ』と題して基調講演をされた後、シンポジウムは、家元、女優・中野良子氏、佐和氏の3氏がパネラーとなり、立命館大学産業社会学部教授・林堅太郎氏をコーディネーターに約1時間半行われました。
  『海を越えた環境協力』のテーマで、水は人類共通の故郷であるという認識の上に、日本海を共有する北東アジアにおいて環境という視点からどう理解しあい、交流していくか…3氏はそれぞれの経験をもとに論じられました。

  家元は、裏千家茶道と中国との長い交流から、「一衣帯水という言葉があるが、日本と中国の間にある共通の海を前に、双方が岸に立って向かい合っているだけでは相手は見えない。国際交流、文化交流を進めるには自分の立っているところからお互いが一歩踏み出す努力をしないといけない」と話され、環境の世紀と言われる21世紀において「人間は暦をめくるように毎日の移ろいを確認することで自然の豊かさを感じることができる。自然が与えてくれる計り知れない恩恵を感じることが、それを保全する第一歩となるのではないか」と結ばれました。