HOP“森の教室” in 法然院
千 宗室家元が基調講演、パネルディスカッションに出席


  千 宗室家元は、11月17日、東山三十六峯の一つ・善気山山麓にある法然院(京都市左京区鹿ヶ谷)において開催された「HOP“森の教室” in 法然院」に出席され、基調講演の講師とパネルディスカッションのパネラーを務められました。


基調講演される家元


パネルディスカッション


  この催しは、「森をたてようネットワーク」の主催。国土の67%の森林を有する我が国において、地球温暖化防止の有効な手段として森の再生が大きな潮流となっている現在、森を元気にするため、間伐をすすめその材を使っていくシステムを取り戻そうと取り組んでいる同ネットワークが、「木の国のこれから」を考える小さな教室を立ち上げ、今回はその第一回目。
  一般参加者約200人は、午後7時からの開催に向けて日没後の暗がりの中、哲学の道を経て法然院本堂までの自然を満喫しながら参集、満場の堂内は熱気に包まれました。


本堂に座して聴き入る聴衆


       

パネリストの著書も並べられた受付


  まず、『平常心是道−心を耕す−』と題する基調講演。
家元は、人間が自然を管理できるわけがないという思いを話され、時折ユーモアを交えながら、「朝起きたらまず窓を開け、その日と出会う。暑くても寒くても、その日一日をあるがままに受け入れようとするところから、自分の傲慢さを知ることになる。平常心とは、あるがままの心ということ。本来の自分の中にある平常心を素直に見るために、身近な自然と向き合うところから始めてはどうでしょうか」と語りかけられました。
  引き続いて、『木の国を生かすために、今』をテーマにパネルディスカッションが行われ、パネラーを家元、法然院貫主の梶田真章師、ハウジングオペレーション代表の石出和博氏の3氏、進行役はアウトドアライターの天野礼子氏が務められました。
  「森をたてる」という構想に対して、パネラーがそれぞれ意見を披瀝。石出氏は日本の林業と住宅産業の現状を報告。梶田師は「我々は見返りがほしいと思って何かをする。が、生きていること自体もらっていることであり、あとは返していくしかない。それが布施ということ。考えるだけでなく行動を」と話され、家元が「のちの人に対して優しい思いやりをもってプレゼントをするのは大切なこと」と結ばれ、拍手をもって終了しました。