千 宗室家元、京都大学心茶会70周年記念講演




  12月10日(土)、京都大学において京都大学心茶会の創立70周年記念式典が開催され、千 宗室家元が「日本の美意識」と題して講演されました。
  心茶会は淡々斎宗匠と京都大学文学部教授の久松真一氏の指導により昭和16年に発足。点前稽古と坐禅を中心とした活動は大戦中も継続され、今日も多くの学生が修錬に励んでいます。

  宮武義幸心茶会理事長の挨拶に続いて、講演に臨まれた家元は哲学者のヘーゲルやブルーノについて触れつつ、「昨今、分からないことを自分で考えず、インターネットなどで答えらしきものを見つけ、安易に飛びつく人が増えてきているように感じます。そうしたことの繰り返しによって人々は満足することを見失い、不平や不満が先に立つようになってきたのではないでしょうか」と話されました。また、侘びや一期一会の精神などについて解説され、「自分と他人には相違点があります。自分をコントロールできない人間は相手の相違点に対して攻撃的になります。他人の粗を探して世の中が活性化するはずはありません。異なりを認めながらともに生きる日本の美意識を大切にしていただければと存じます」と結ばれました。
  家元は講演終了後の質疑応答にも快く応じられ、会場からの質問に丁寧に答えられました。