第88回夏期講習会 開講される
流れる汗も修道の糧に


  精中・圓能・無限忌の翌日7月6日から12日まで、宗家では恒例の夏期講習会(第1班)を開講、日本全国から61人の受講生が参加しました。この講習会は明治44年、学校茶道の指導者育成を目的に始められたもので、本年で88回を数える伝統ある講習会です。

  初日午前9時から千 宗室家元、千 宗之若宗匠臨席のもと、茶道会館において開講式が行われました。お家元はご挨拶で「この一週間はお茶三昧の毎日です。“口耳四寸の学”というように、徒に情報に惑わされず、所作、点前の一つひとつをものにしていくことを心がけるように」と、受講者を激励されました。 それを受けて落合宗宇氏が受講生を代表して誓詞を述べ、一週間の精励を誓いました。

お家元、若宗匠が臨席された開講式 受講生代表より誓詞を受けられるお家元

式後、受講生一人ひとりを励まされるお家元、若宗匠

  講習は、午前9時から昼食をはさんで4時半までぎっしり。受講生は小班に分かれて、7日間で基本点前から小習事、四ケ伝、七事式、真台子まで進められました。さらに、早朝坐禅、お家元、若宗匠による講話、千家十職(楽焼の樂 吉左衞門氏、釜師の大西清右衛門氏、竹細工の黒田正玄氏)による課外講座、そして大徳寺拝観なども行われました。
  初日の講習の最後には、若宗匠よりご講話。「亭主と客が一碗のお茶を通して少しずつ歩み寄っていくのがお茶。お客様においしいお茶を差し上げることは、水屋から始まるのです」と、準備の大切さ、そして一碗にこめられた思いの深さを分かりやすく語りかけられました。

開講式後、早速講習
最初はみんな揃っての割稽古から

若宗匠による咄々斎での講習風景
一つひとつの所作も真剣に

  講習会は12日まで続けられます。梅雨時の京都は湿気と暑さも格段に厳しく、受講生にとっては精神的な鍛錬もいや増しますが、流す汗と引き替えに得るものはまた格別。一日が終わるや、みんな晴れ晴れとした表情に変わっていました。

  最終日午後3時より閉講式が行われ、臨席された若宗匠より、千田宗青氏が修了証を、加賀谷宗典氏が学校茶道教授者適格証を授与。
  若宗匠は、『平常心是道』を引かれ、「厳しい暑さでしたが、四季に恵まれたところにいるのは幸せなことです。自分がそこにいるということで何かを学ぶことができます。皆さん一人ひとりが茶の伝道者として、この講習を契機に広く伝えていってください」との言葉を贈られました。受講生から荒井宗基氏が答辞を述べ、さらなる修道を誓っていました。


閉講式で答辞を受けられる若宗匠

早朝坐禅 樂 吉左衞門氏

大西清右衛門氏 黒田正玄氏

中村宗哲氏 土田友湖氏


  第2班は、お盆明けの8月17日から23日までの7日間同様に開講され、82人が受講。開講式には、お家元、若宗匠が臨席され、精励を誓う受講生(代表・築城宗幸氏)を励まされました。 期間中の後半には比較的しのぎやすい日々となりましたが、課目の厳しさは変わりなく進められました。課外講座は塗師の中村宗哲氏、袋物師の土田友湖氏、および黒田正玄氏が担当。
  閉講式には、お家元が臨席。修了証を授与された後、「修道を目指す者に対して、家元の兜門はいつも開かれています」と語りかけられました。綾 宗美氏が答辞を述べ、無事修了。



閉講式で挨拶されるお家元

お家元より、修了証は古瀬宗絹氏が、学校茶道教授者適格証は神田宗陽氏が代表で授与されました