ユネスコ世界遺産 アンコールワット寺院にて
鵬雲斎千 宗室家元 厳かに献茶式




  鵬雲斎家元はカンボディア王国が世界に誇る史跡アンコールワットにて、12月18日、平和祈念献茶式を執り行われました。
  この献茶式は、駐カンボディア小川郷太郎日本大使の招請に応えられ実現したもので、鵬雲斎家元は12月16日より21日までカンボディアを訪問、第15代家元として最後の献茶式に臨まれました。

アンコールワット寺院 平和祈念献茶式

  丁度雨期が終わったばかりのカンボディアは、青い空が広がり、開式の午前8時には既に気温が40度近くまで上昇。献茶会場となったアンコールワットのロイヤルテラスには、仏教行事に使われる銀色の日傘が立ち並び、僧侶や来賓方に照りつける太陽をやわらげていました。
  家元は、主賓であるボパ・デヴィ王女殿下(文化芸術相)、小川大使夫妻と共に、7つの寺院から参列した住職方から、読経と聖水とジャスミンの花の散華で祝福を受けられた後、参列者が見守る中、ポル・ポト政権下で犠牲となった多くの尊い命を悼み、世界平和を祈念して、濃茶を献じられました。
  熱心な仏教国であるカンボディアの人々にとって、同胞に捧げられたこの一碗は、国境を超えた平和への祈願と友情の証として、敬意を以て受け入れられました。
  献茶式終了後、日本からの随団10名と淡交会バンコク協会会員8名により、参列者に一碗が呈されました。


献茶式、早朝からの式にもかかわらず会場は40度近い気温となりました


平和を祈念して一碗を献ずるお家元 ご来賓のボパ・デヴィ王女殿下と小川大使





フン・セン首相 表敬

  同日午後、首都プノンペンに移動された家元は、12月19日午後4時30分より市の中心部、独立記念塔のそばにある首相官邸を表敬訪問、フン・セン首相と会見。官邸の首相執務室にて一碗を呈され、茶の効用等について歓談、和やかな雰囲気でした。表敬訪問には小川大使並びに随団メンバーの前衆議院議員・井上一成氏、大阪今日会会員・高島正彦氏、関根秀治・社団法人茶道裏千家淡交会専務理事が同席。



フン・セン首相に呈茶されるお家元





シハヌーク国王陛下ご夫妻に謁見・献茶

  翌20日午前11時より、鵬雲斎家元は王宮内の荘厳な「戴冠の間」においてシハヌーク国王陛下ご夫妻に謁見されました。笑顔で家元を迎えられた国王は、旧知の友のように親しく言葉を交わされました。当初王宮儀典庁より、お茶は国王陛下ご夫妻のみにとのことでしたが、国王のご所望で、同席者全員にもお茶を召し上がって頂くというハプニングもあり、厳かながら、笑顔の絶えない心のこもった謁見となりました。

  短い滞在ではありましたが、訪問先の端々でカンボディアの人々の内戦の痛手を感じさせぬ"クメールの微笑み"に、復興に向ける確かな意思を感じることができ、鵬雲斎家元がライフワークとして50余年に亘って続けてこられた茶道外交史に残る、有意義なカンボディアご訪問となりました。


王宮内「戴冠の間」にてシハヌーク国王陛下ご夫妻に一碗を献ずるお家元


            「茶道の心」を理解された国王陛下ご夫妻は時間を大きく取られ、熱心に
            お家元の説明を聞かれました。