茶道裏千家淡交会ワルシャワ寸心協会・クラクフ洗心協会が発会
― 千玄室大宗匠臨席のもと、発会記念行事を開催 ―


  中央ヨーロッパに位置するポーランド共和国は、ショパンやキュリー夫人の故郷としても知られますが、第二次世界大戦では甚大な被害を被り、戦後は政治的に東欧に分類されてきた国。本年は日本・ポーランド国交回復50周年にあたり、両国の政治・経済・文化の交流が盛んななか、この度、首都ワルシャワと古都クラクフに淡交会の協会がそれぞれ発会しました。
  千 玄室大宗匠は、6月17〜24日、ポーランドを初めて公式訪問され、2協会の発会関連行事に臨まれたほか、大統領夫人への表敬訪問はじめワルシャワ大学茶道文化講演会、クラクフ聖マリア教会での平和祈念献茶式などを開催され、茶道普及活動を通じて日本とポーランドの交流に新たな足跡を刻まれました。


ワルシャワ市内の町並み


千 玄室大宗匠 茶道文化講演会
  6月18日、ワルシャワ大学主催による「千 玄室大宗匠 茶道文化講演会」が旧図書館オーディトリアムで開催され、カタジナ・ハワシンスカ マッコフ学長、駐ポーランド日本国特命全権大使の田邊隆一閣下夫妻、ワルシャワ大学日本学科関係者・学生、さらに日本からの随団44人を含め約400名が参加。
  マッコフ学長及び田邊大使の挨拶に続いて、大宗匠が「日本の心、茶の心」と題して講演されました。また、大宗匠の解説による「茶道デモンストレーション・長板二ッ置」の後には多くの質問があり、茶道や日本文化への関心の高さが窺われました。

ワルシャワ大学旧図書館

茶道文化講演会講演される大宗匠

茶道デモンストレーション呈茶席


  講演会に先立ち、大宗匠は、ワルシャワ大学新図書館にある茶室「懐庵」にて、マツコフ学長や大学関係者、田邊哲子大使夫人に一碗を呈されました。




ベルヴェデル宮殿での大統領夫人への呈茶
  19日、大宗匠は、ワルシャワにあるベルヴェデル宮殿において、マリア・カチンスカ大統領夫人、田邊大使夫妻、イザベラ・トマシェフスカ大統領府儀典局長らに呈茶されました。大統領夫人は自ら二碗のお茶を点てられ、一碗目を田邊大使が、また二碗目は大宗匠が召し上がり、和やかに友好の輪が広がる会となりました。



千 玄室大宗匠主催 ワルシャワ寸心協会発会祝賀晩餐会
  夕刻には、ル・ロイヤル・メリディアン・ブリストル2階レセプションホールにて「千玄室大宗匠主催 ワルシャワ寸心協会発会祝賀晩餐会」が催され、約150名が出席。
  大宗匠理事長より、ワルシャワ寸心協会の設立認証書が松本副会長に授与され、役員を代表して田邊名誉顧問、松本副会長、杉本宗苑常任相談役、イヴォナ・ムロチェック・ヴァルジニスカ幹事長らに委嘱書が交付されました。

ブジンスキー会長と握手松本氏より挨拶


《ワルシャワ寸心協会役員》
名誉顧問田邊隆一閣下(駐ポーランド日本国特命全権大使)
会長マレック・ブジンスキー氏(建築家、ワルシャワ工科大学教授)
副会長ヤドゥビガ・ロドウィッチ氏(ポーランド外務所参事官)
副会長松本照男氏(ポーランド日本人会副会長)
常任相談役 杉本宗苑氏(淡交会大阪東支部)
顧問エヴァ・パワシ・ルトゥコフスカ氏(ワルシャワ大学日本学科長)
顧問岡崎恒夫氏(ワルシャワ大学日本学科講師)
幹事長イヴォナ・ムロチェック・ヴァルジニスカ氏
副幹事長兼事務局長ウルシュラ・宗宇・マハ氏


  席上、大宗匠の著書『茶の精神』ポーランド語版の出版披露があり、インジェリ・ペ・ト・ク出版社のマチェイ・カネルト代表取締役より経緯説明及び出版に際して諸調整をされた杉本宗苑常任相談役、翻訳を担当されたアンナ・ザレフスカ女史(ワルシャワ寸心協会幹事)への謝意が伝えられました。本書は、ポーランドにおける初の茶道関係出版物ということで、茶道の精神性を紹介するだけでなく日本文化全般への理解を深めるためにも意義あるものと期待されています



平和祈念献茶式(クラクフ・聖マリア教会)
  20日には首都ワルシャワを後に古都クラクフへ。
  翌21日午前10時より、ポーランドで最も伝統と格式のある聖マリア教会にて、大宗匠ご奉仕により平和祈念献茶式が執り行われました。
  ブロニスワフ・フィデルス大司教、チェスワフ・サンデツキ神父の主宰による厳粛なるミサがあり、田邊大使夫妻、映画監督のアンジェイ・ワイダ氏夫妻、クラクフ洗心協会役員・会員、多数のクラクフ市民が参列。大宗匠は一碗を点じられ、世界平和と故登三子夫人の天国での安寧を祈念されました。

聖マリア教会献茶式






クラクフ洗心協会発会式
  22日には、クラクフの日本美術技術センター(通称:マンガセンター)において、クラクフ洗心協会発会式・記念講演会・茶道デモンストレーション・記念茶会が開催され、約250名が出席。
  講堂で行われた式典では、大宗匠よりアンジェイ・ワイダ会長にクラクフ洗心協会の設立認証書が授与され、役員を代表してワイダ会長、夫人のクリスティーナ・ザフファトヴィッチ副会長、山口宗悦常任相談役、宮永匡和幹事長らに委嘱書が交付されました。
  式典に続いては、大宗匠による記念講演、茶道デモンストレーション(長板二ッ置)があり、立ち見が出るほどの盛会でした。



ワイダ会長に設立認証書授与


大宗匠の記念講演


茶道デモンストレーション


《クラクフ洗心協会役員》
名誉顧問田邊隆一閣下(駐ポーランド日本国特命全権大使)
会長アンジェイ・ワイダ氏(映画監督)
副会長クリスティーナ・ザフファトヴィッチェ氏(ワイダ会長夫人、女優)
副会長ボグナ・ジェフチャルク−マイ氏(マンガセンター館長)
副会長クシシュトフ・インガルデン氏(建築家、在クラクフ日本国名誉総領事)
常任相談役山口宗悦氏(名誉師範・淡交会鎌倉支部参与)
常任相談役付顧問エルジビエタ・ベルニャク氏
常任相談役付顧問ロマン・ベルニャク氏
顧問ブロニスワフ・マイ氏(詩人・ヤギェウオ大学大学教授)
顧問アンジェイ・ヤイシュチク氏(ポズナン大学教授)
顧問リシャルド・オトレンバ氏(クラクフ芸術大学教授)
顧問ヒエロニム・クレイス氏(詩人・ティニエツ教会神父)
幹事長宮永匡和氏(画家)
副幹事長 エヴァ・ムハ氏


その後、昼食をはさんで記念茶会。山口宗悦常任相談役による薄茶席が茶室「洗心庵」で催されたほか、マンガセンターテラスに設えられた立礼席ではクラクフ洗心協会会員による呈茶があり、清々しい陽光に包まれながら祝意の一碗が呈されました。


「洗心庵」での茶会立礼席


千 玄室大宗匠主催 懇親夕食会
  この日午後6時からはシェラトン・クラクフ・ホテルにおいて「千 玄室大宗匠主催 懇親夕食会」が開催され、クラクフ洗心協会会員に日本からの随団が加わり約120名が出席。新たな協会の船出に対する祝意と、日本・ポーランド両国の交流の輪が広がり、和やかな宴となりました。