千 玄室大宗匠 ハンガリーを訪問




  千 玄室大宗匠は4月4日から10日までハンガリーの首都ブダペストを訪問。
  今回の訪問は、本年が日本・ハンガリー外交関係開設140周年・外交関係再開50周年にあたることから周年事業最大の行事として在ハンガリー日本国大使館鍋倉眞一大使の招聘を受けられたものです。
  到着翌日、大宗匠は長旅の疲れも見せず、春霞のかかった青空の下、桜、レンギョウが満開の4年ぶりのブダ地区旧市街を散策。訪問中は数々の行事に臨まれました。

 ◆ エトヴェシュ・ローランド大学にて講演
  4月5日、大宗匠はハンガリーの名門、エトヴェシュ・ローランド大学に於いて「茶の心」をテーマに講演。初めて茶道に接する聴講者のために簡単な歴史や背景にも触れ、「お茶はビタミンやカテキンが含まれ非常に体にも良い、私は永年お茶を飲んできたのでグリーンの血が流れているかも」などとユーモアを交えながら解説されると、会場の緊張は一瞬で和やかな雰囲気に。「お茶のグリーンは地球の中で一番大事な色、自然を大切にする心、一碗を勧め合い感謝すること、人のあるべき姿を教えるのが茶道、この精神が広まれば戦争のない平和な世界になる」と説かれました。



会場では350名が熱心に聴講。
大きな拍手が贈られました。


茶道デモンストレーション
町田宗芳業躰が点前、鮒子田宗惠講師が半東
正客、次客はハンガリー協会会員


呈茶席
ハンガリー協会会員の他、ロンドン、パリ、チェコからも
駐在講師や会員がお手伝いにかけつけました。


 ◆ マードル・フェレンツ前ハンガリー大統領に呈茶
  4月6日、日本国大使公邸にてマードル・フェレンツ前大統領ご夫妻並びに各国大使・夫人を招いての茶会が開催されました。マードル前大統領とは4年ぶりの再会とあって前大統領も懐かしそうに握手を交わされ、和やかな茶会となりました。



マードル前大統領夫妻(中央)、鍋倉大使夫妻(右)


 ◆ ショーヨム・ラースロー ハンガリー大統領に呈茶


  4月6日午後、大宗匠は鍋倉大使と共に大統領公邸を訪問。「ブルーの間」にてショーヨム大統領に一碗を呈されました。呈茶にあたり、大宗匠は「日本では武士は帯刀せずに茶室に入った。平等、和やかさを重視している日本の茶道を知っていただき一碗を」と勧められました。初めて触れる文化に緊張の面持ちであった大統領も大宗匠の説明にリラックスされ、自ら点てられた一碗を大宗匠が頂かれるなど、和やかな接見となりました。






 ◆ スィリ・カタリン国会議長等に呈茶
  4月8日、再び大使公邸にてスィリ国会議長をはじめ国会議員、国会関係者を招いての茶会が開かれました。大宗匠は4年前にはハンガリー国会議事堂にてスィリ国会議長に呈茶をされています。世界の経済不況の中、ハンガリーも例外ではなく、国会でも与・野党の論争は紙面を賑わしているようです。大宗匠は裏千家の初釜を例に挙げられ「異なる党の議員方が茶室の中では一碗のお茶を分かち合い、話し合う機会が生まれます。」と説明されるとスィリ議長は「ハンガリーの国会の中にも茶室を作れたらいいですね」と茶道の平和思想に賛意を示されました。


スィリ国会議長鍋倉大使夫妻と国会議員、関係者の皆様