大宗匠アブダビをご訪問 「緑水庵」―茶室披き―




  千玄室大宗匠は、アブダビ首長国のシェイク・ムハンマド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン皇太子殿下へ献上の茶室「緑水庵」の茶室披きのため、12月4日から7日までアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪問されました。大宗匠には昨年10月、今年3月に続く3度目のアブダビ訪問で、その間皇太子殿下派遣の大学生6名と皇太子府職員1名を宗家に受け入れ2週間の茶道研修を行う等、同国との茶道を通しての交流が深まっています。
  大宗匠は滞在中、茶室披きの他、皇太子府の依頼により、新しい茶室に於いて大学生を対象とした講話と茶道紹介を行なわれました。


エミレーツパレス全景


  12月6日正午より、UAEの迎賓館でもあるエミレーツパレスにムハンマド皇太子殿下をお迎えし、大宗匠献上の茶室、緑と水に恵まれた心のオアシスとなることを願って命名された「緑水庵」の茶室披きが執り行われました。
  大宗匠とムハンマド皇太子殿下が親しく挨拶を交わされた後、大宗匠のお願いに応えられ、皇太子殿下はその場で無地の扁額に筆と墨を用いて「みどりのオアシス」とアラビア語で揮毫され、その下に署名をされました。皇太子殿下の達筆な文字に会場から拍手が沸き起こりました。大宗匠は、「早速明日から皇太子殿下にお書き頂いた扁額を掲げます」と謝意を述べられました。


揮毫される皇太子殿下


扁額「みどりのオアシス」


  その後、大宗匠染筆の扁額「緑水庵」を大宗匠と皇太子殿下が二人で除幕されました。大宗匠は、この茶室を日本とUAEの益々の友好に役立てて頂きたい、と挨拶の言葉を述べられました。皇太子殿下と皇太子殿下指名のシェイク・ハーミド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン殿下とDr. アマル・アブドッラー・アル・クベイシーUAE国民評議会アブダビ代表が新しい茶室に上がられ、王族や政府高官、渡邉達郎駐UAE日本国大使等が見守る中、大宗匠の点前で一服を召し上がりました。席中、皇太子殿下は大宗匠に、この茶室を我々の代だけでなく、子や孫やその次の世代まで、末永く両国の友好に役立てたいと、御礼の言葉を述べられました。
  随団のすみれ会7名と10月に宗家へ特別研修に来ていたアブダビの大学生6名の運びで、シェイク・カレド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン殿下、カルドゥーン・アル・ムバラク首長国政府執行評議会長官、今回の茶室献上に至るまで協力くださった国際石油開発帝石の松尾邦彦会長等25名の列席者にもお菓子とお茶を差し上げ、茶室披きは無事終了致しました。


すみれ会と留学生がお運び一碗を喫する王族・政府高官方


  茶室披き終了後、日本とUAEの交流への多大な貢献を讃えて、皇太子殿下より大宗匠にアラブ首長国連邦の勲章が贈られました。UAEの国家勲章は3種類あり、この度の勲章は、UAEに多大な貢献のあった大統領や首相に授られる最高位のアラブ首長国連邦独立勲章第一級です。各国政府関係者以外の受章は初めてのことです。
  茶室披きと大宗匠叙勲の模様はアブダビの各紙に大々的に取り上げられ、緑水庵の存在は瞬く間に有名になりました。



固い握手を交わされる皇太子殿下と大宗匠


アラブ首長国連邦独立勲章第一級


皇太子殿下と大宗匠を囲む宗家研修生等




  12月7日の午後2時より緑水庵に於いて、大学生を対象とした講話と茶道紹介が行なわれました。ザイード大学女子部と高等技術大学アブダビ校女子部から32名の女子学生が出席、皇太子殿下揮毫の扁額の下、大宗匠は茶の心、平和の精神、人を思いやることの大切さを説かれました。続いて宗家研修に派遣された女子学生を交えて、業躰による茶道デモンストレーションと質疑応答が行なわれ、すみれ会の運びで参加者全員に一碗を呈しました。
  出席した学生たちは、大宗匠の勧めで実際に茶室の中に入ったり、すみれ会のメンバーと親しく交流し、メールアドレスを交換して今後のやりとりを約束したりと、日本文化の一端に触れる機会を満喫した様子でした。


茶道の精神を説かれる大宗匠


皇太子殿下の扁額の下、業躰によるデモンストレーション


お茶のいただき方を説明すみれ会の着物に見入る学生達