- 裏千家ホームページ　千玄室大宗匠、ニューヨークにて渡米60年記念行事

千玄室大宗匠、ニューヨークにて渡米60年記念行事
―国連本部にて平和祈念茶会、グランド・ゼロにて平和祈念献茶式を開催―

　鵬雲斎千玄室大宗匠は9月14日から19日までニューヨーク市を訪問。戦後間もない1951年、大宗匠がお茶の心を世界に広めるべく初めて海外に一歩を踏み出してから60年となる節目に、世界平和を祈念する様々な行事が開催されました。

　9月14日、ニューヨークに到着された大宗匠は、同日の夕刻に国連日本政府代表部の西田恒夫特命全権大使を表敬訪問され、国連親善大使また日本国連協会会長として、諸問題について会談されました。

◆　コロンビア大学茶道講演

　9月15日、大宗匠は、コロンビア大学に於いて同校ドナルド・キーン日本文化センター主催による記念講演に臨まれました。講演に先立ち大宗匠は、センターのフルーグ・フェルダー所長、中世日本研究所のバーバラ・ルーシュ所長らと会見されました。
　大宗匠は、茶道の歴史や喫茶の効用を紹介し、さらに茶の作法を例に挙げながら精神修養の場としての茶道のすがたを指摘し、亭主と客が一碗の茶を介して互いに相手に対して気を配る茶道の心の在り方は平和な社会の構築に不可欠なものではないかと問いかけ、講演を締めくくられました。

　この後、随行の業躰を始め全米より参集した裏千家海外出張所駐在講師らによる茶道デモンストレーションが行なわれました。


講演会場：カーサ・イタリアーナ

◆　国連平和祈念茶会
　大宗匠は16日午後、国連本部に潘基文国連事務総長を表敬されました。

　第65回国連総会開会の17日、大宗匠は国連本部に於いて平和祈念茶会に臨まれました。
　本茶会は「国連平和の日」に因む国連日本政府代表部の主宰によるもので、各国の国連代表ら約120名が出席しました。当日、午前10時、会場のインドネシアラウンジには潘基文事務総長はじめアシャ・ローズ筆頭事務次長、ハミドン・アリ経済社会理事会議長ら要職の方々が来られ、茶会の開会となりました。
　西田大使の挨拶に引き続き大宗匠は、2000年の国連ミレニアム総会の折に催した茶会の思い出に触れながら「山積みする世界平和に向けた諸問題に対するプロジェクトを達成するためにも、本日は茶の湯を楽しんで心の安寧を得て頂きたい」と語り、特設の四畳半茶室にて点前を始められました。
　国連旗に一碗を献じられるお茶湯の儀の後、潘基文国連事務総長夫妻、西田恒夫国連大使夫妻はじめ各国の国連代表者に一碗を呈されました。潘事務総長は二服目を所望され、さらには自ら茶筅を振って、点てられた一碗を大宗匠に供されるなど、和やかな席となりました。


潘基文事務総長夫妻、西田恒夫国連大使夫妻と

◆　淡交会北米代表者会議
　17日午後4時より、ザ・ヒルトン・ニューヨークを会場に淡交会北米協会代表者会議が開催されました。
　大宗匠臨席のもと、会議には米国、カナダ地域26協会の代表者（会長、幹事長）が出席。協議に先立ち、大宗匠は初渡米から来し方の思い出に触れながら、北米各地への裏千家茶道の普及発展に向けた組織改革の必要性について述べられました。
　続いて裏千家事務総長の関根秀治淡交会副理事長より北米同門の一体感の高揚と協会の状況を把握し適切な指導が出来るように淡交会北米総局の設置と、巡回講師派遣制度を設けることが発表されるなど、北米の同門社中のつながりを深める有意義な会議となりました。

◆　聖ピーターズ教会平和祈念献茶式
　18日、同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地（グラウンド・ゼロ）前に位置する市内最古の聖ピーターズ教会に於いて平和祈念献茶式が執り行われました。


聖ピーターズ教会の壁にはグラウンド・ゼロの崩壊した廃材で十字架が掲げられている

　午前10時、マディガン司祭の先導により入堂した大宗匠は、司祭の平和の祈りに引き続き点前座に進み濃茶・薄茶二碗を謹点。テロの犠牲者の慰霊とともに世界の恒久平和を祈念されました。献茶式には200名を超える市民や同門社中が参列し、大宗匠とともに心から平和を祈りました。

　同日、午後4時からプラザ・ホテルにて許状親授式が執り行われ、大宗匠は全米各地で永年にわたり多数の社中の育成に励んだ教授者15名に激励の言葉と共に正教授、教授、準教授の許状を親授されました。
　また、午後6時からは同ホテルにて大宗匠主催の晩餐会が催されました。席上、永年に亘って北米地域での茶道普及に尽力した米国裏千家茶道協会の前会長のリチャード・ダンジガー理事に大宗匠から功労賞が贈られました。


表彰を受けられるダンジガー氏	西宮伸一NY駐在大使挨拶


晩餐会にて海外協会会員と

◆　渡米60年記念茶会
　19日には大宗匠の渡米60年を記念して記念茶会が開催されました。裏千家ニューヨーク出張所に今日庵担当の濃茶席、キタノホテルにはニューヨーク出張所社中担当の薄茶席と点心席が設けられました。
　ニューヨーク出張所社中席では、出張所が開所して以来の歩みを待合に写真展示をし、また茶席ではアメリカ在住の作家たちが手がけた茶碗や古レコードを折り曲げて制作した莨盆、摩天楼をデザインした麩焼き煎餅など随所でニューヨークらしさを表現し、大宗匠はじめ参会者を大いに楽しませました。


キタノホテルにてニューヨーク社中による薄茶席


	ニューヨーク出張所、濃茶席