千 玄室大宗匠、中国とモンゴルを訪問
〜日本・モンゴル外交関係樹立40周年記念プレイベントとして茶道行事を開催〜
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  千 玄室大宗匠は、8月24日(水)から30日(火)まで中国とモンゴル国を歴訪されました。
  モンゴルは今回が初訪問であり、2012年の日本・モンゴル外交関係樹立40周年記念に先駆けて、モンゴル国外交貿易省が裏千家に茶道を通じての文化交流行事の実施を要請、大宗匠がこれに応えられ実現したものです。

  中国では24日に王文章文化部副部長兼芸術院院長と会見。翌25日は井頓泉中国日本友好協会副会長や文化部主催昼食会で趙少華副部長と会談されました。

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王文章文化部副部長兼芸術院院長との会見

  8月26日にモンゴル到着後、早速、日本国大使館の城所特命全権大使を表敬訪問。その後、地元テレビ局、新聞社数社からの取材に応じられ、その模様が夕方からのニュースで放映されるなど、この度の訪問に対するモンゴル国内の関心の高さが伺われました。

 ○茶会 (於 イフテンゲル迎賓館)
  8月27日、ウランバートル市街地を離れた小高い丘の麓の広大な敷地に建つイフテンゲル迎賓館において茶会が催され、ハジドスレン・ボロルマー大統領夫人はじめ各省庁局長など15名が出席しました。
  茶会では、はじめに城所卓雄駐モンゴル日本国特命全権大使が挨拶され、大宗匠を紹介。大宗匠は点てられた一碗をボロルマー大統領夫人に呈されました。
  呈茶の後には、夫人自ら茶筅を振ってお茶を点てられる場面もあり、会場内は和気藹々とした雰囲気に包まれました。
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茶筅を振られるボロルマー大統領夫人初めての抹茶の香りを堪能

   茶会終了後には昼食会が催され、途中、モンゴル国立馬頭琴楽団による伝統音楽が演奏されるなど歓迎ムードの中、招待客方は各テーブルで茶道を話題にゆったりと語り合われました。
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アルヒ(モンゴルのウォッカ)で乾杯ホーミー(モンゴルの歌唱法)歌手と談笑

  ○ダンバダルジャー旧日本人墓地にて献花
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  同日午後からは大宗匠、城所大使、及び淡交会北京同好会と大連同好会から参加した随団16名がダンバダルジャー旧日本人墓地の慰霊碑へ献花に訪れました。
  ダンバダルジャー旧日本人墓地はウランバートル市街地から北東15kmの町外れにあり、第二次大戦後、シベリアに抑留された日本人将兵60万人のうち1万2千人がモンゴルに送られ、2年余りの強制労働で約1千600人が死亡、そのうち853名がこの地に埋葬されました。現在、遺骨は収集され、荼毘に付された後、日本へ送られており、日本政府によって跡地に記念碑が建てられています。はるか遠い彼方の日本に向かって建てられた慰霊碑には、「諸氏よ、祖国日本は見事に復興しました。モンゴルの地に安らかに眠って下さい。」という一文が刻まれ、これまでにモンゴルを訪れた皇族や首相、国会議員などの多くが参拝しています。
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参列者一同、慰霊碑に合掌 碑に刻まれた矢印は日本を示す

○講演会(於 モンゴル国立オペラ・バレエ劇場)
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  翌日午後、大宗匠は市の中心、スフバートル広場に面したモンゴル国立オペラ・バレエ劇場での講演会に臨まれました。
  会場には、隋団が中心となって呈茶席を設けましたが、午後1時の開場と同時に多数の入場者が長い列を作っていました。

  講演会では、冒頭、城所大使に続いて、モンゴルの国民的大女優で国立ドラマ劇場副館長のナムスライン・ソブド氏が挨拶。続いて佐藤紀子・駐大阪モンゴル国名誉領事の紹介により登壇された大宗匠は、「日本の心・茶の心」をテーマに茶道の精神をわかりやすく丁寧に説かれました。
  講演・茶道デモンストレーションの終了後にも呈茶席が設けられ、来場者一人ひとりに一碗が呈されました。
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講演される大宗匠 茶道デモンストレーション

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講演後の質疑応答 北京同好会、大連同好会による呈茶席

○平和祈念献茶式(於 ガンダン・テクチェンリン僧院)
  翌29日、ウランバートル市の西側に位置するガンダン・テクチェンリン僧院(通称ガンダン寺)において平和祈念献茶式が行われました。
  大宗匠は、午前9時半から境内の貴賓用ゲルにおいてチョイザムツ大僧正(ハンバラマー)と接見し、モンゴル茶によるもてなしを受けた後、ハンバラマーを先頭に雁行して観音堂へ入堂、献茶式の開始となりました。
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チョイザムツ大僧正との接見オチルバト初代大統領

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  献茶式には城所大使、モンゴル国初代大統領のポンサルマーギーン・オチルバトご夫妻をはじめ来賓方も参列。チベット・モンゴル仏教の読経が堂内に響く荘厳な雰囲気の中、大宗匠が一碗を謹点、世界平和を祈念して合掌されました。

  同日午後には、ウランバートル市街地から約80km郊外にあるモンゴル馬術連盟のトレーニング場で大宗匠を歓迎するナーダム(モンゴルの祭り)が開催されました。
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持ち主の証として青いハタグを巻く子供たちの競馬はナーダムのハイライト

  冒頭、日本馬術連盟会長である大宗匠への敬意を込めて、 モンゴル馬術連盟から駿馬が贈呈されました。大宗匠が自らの手で馬の首に青いハタグ(モンゴルの儀式に用いる織布)を巻かれると、その馬は生涯、大宗匠と草原を吹く風以外は何者もその背中に乗せないことが宣言されました。
  子供たちが騎乗するモンゴル馬による5kmの競走の後には、羊を1頭使った伝統料理に馬乳酒や アルヒ(モンゴルのウォッカ)が振舞われ、宴は草原が夕陽に染まるまで続きました。
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澄み渡る秋空の下、草原でのもてなし随団からは歌のお礼

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