千 玄室大宗匠、パリを訪問
− ユネスコ本部での献茶式と茶室「清友庵」扁額除幕式 −

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  千 玄室大宗匠は平成31年4月14日(日)より16日(火)までフランス・パリを訪問され、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)本部にてユネスコ日本政府代表部主催による平和祈念献茶式を執り行い、またパリに隣接するオー=ド=セーヌ県内のヴァレ=オ=ルー公園にて茶室「清友庵」の扁額除幕式に臨まれました。

  4月15日(月)、献茶式に先立ち、大宗匠は山田滝雄 ユネスコ日本政府代表部特命全権大使とともにオードレ・アズレー ユネスコ事務局長に面会しました。大宗匠は茶道を通じた平和と文化への貢献が認められたことから、2012年にユネスコ親善大使に任命されています。大宗匠とアズレー事務局長は、これまで大宗匠が教育分野で行われた取り組みや科学の進歩に伴う倫理や道徳の課題などについて活発に意見を交換し、充実した会談となりました。

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アズレー事務局長、山田大使と記念撮影

  会談後、ユネスコ本部内のイサム・ノグチ氏作庭の日本庭園「平和の庭園(Garden of Peace)」に設えられた会場へ移動し、ユネスコ日本政府代表部による司会進行のもと平和祈念献茶式が始まりました。
  冒頭、山田大使は主催者挨拶にて「茶道の『和敬清寂』は異なる文化を尊重し、世界の平和を推進しようというユネスコの理念と軌を一にするものです。本日の行事がそのような茶道の精神とユネスコの理念への理解を分かち合い、深める機会となることを願います」と述べられました。
  また、アズレー事務局長は来賓挨拶にて、イサム・ノグチ氏が日本庭園を作庭した際にも大宗匠が茶会を行ったことに触れられ、「ユネスコの歴史も共有するお方にお越しいただき大変光栄です。本日皆様と一碗をともにすることで、ユネスコ加盟国の関係が向上する機会となることを期待します」と述べられました。
  その後、大宗匠はユネスコ各国政府代表部大使など約30名の参加者が見守る中、厳かに一碗を点じ平和を祈念し献茶台に献じられました。

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山田大使挨拶アズレー事務局長挨拶

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献茶式大宗匠挨拶

  献茶式に続き、大宗匠は挨拶にて献茶台が設置された「和の滝」に関連し水、日、土の大切さについて触れられるとともに「世界平和のために行動される、ユネスコの皆さんの努力に感謝いたします」と締めくくられました。

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呈茶席

  ユネスコ本部内には呈茶席が設けられ、献茶式出席者およびユネスコ関係者 約250名に呈茶が行われました。

  翌4月16日(火)には、茶室「清友庵」の扁額除幕式が執り行われました。清友庵は1985年に大宗匠の寄贈によりパリの日本国大使館広報文化センターに建てられ活用されてきましたが、2007年の同センター閉館に伴い解体され、大使館にて保管されていました。今回、以前より裏千家と協力関係にあるアルベル・カーン庭園美術館を有するオー=ド=セーヌ県からの申し出に基づき、清友庵を同県に寄贈することとなりました。
  茶室披きは大宗匠、パトリック・ドゥビジャン オー=ド=セーヌ県議会議長、木寺昌人 駐フランス日本国特命全権大使の出席のもと、移築先として選ばれた同県ヴァレ=オ=ルー公園内の盆栽温室にて執り行われました。除幕式後、参加者は茶室と盆栽との取り合わせでより一層日本文化を感じられるようになった空間で一碗を楽しみました。
  清友庵はフランスにおける新たな文化交流の拠点として活用され、現在改築中のアルベル・カーン庭園美術館の再オープンに合わせて、同美術館への再移築が予定されています。

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ドゥビジャン議長木寺大使

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