第11回沖縄・奄美大島・鹿児島「和合の茶会」




  11月7日、千 玄室大宗匠を迎え、鹿児島市において「和合の茶会」が開催され、沖縄・奄美大島・鹿児島の三地域の会員をはじめ鹿児島市内の学生・生徒のほか、全国各地から850名が参加しました。(主管・鹿児島支部、島津修久支部長)
  「和合の茶会」は、薩摩と琉球、奄美大島が不幸な歴史を乗り越え、お茶の心でその関係を再構築することを目的に、島津修久鹿児島支部支部長が発意、大宗匠が命名され、平成11年以降毎年行われています。

  午後1時30分、鹿児島市民文化ホールにて開会。
  第一部では、鹿児島大学法文学部教授・渡辺芳郎氏が「薩摩焼の考古学」と題して講演されました。




  第二部は「和合の茶会」。島津修久支部長より歓迎の挨拶の後、大宗匠ご染筆「思無邪」(論語)の一行のもと、親泊一郎沖縄支部支部長、渡 博文奄美大島支所支所長、島津修久支部長、伊藤七苗氏(伊藤祐一郎鹿児島県知事夫人)、岡積常治氏(鹿児島県副知事)、古木岳美氏(鹿児島市副市長)と、3支部支所の役員の方々がステージ上に揃い、大宗匠が厳かに練られた濃茶を順服されました。舞台と客席が一体となって、三地域の更なる交流と和合の精神の一層の拡がり、そして平和で豊かな社会の実現をともに祈る機会となりました。


島津支部長より挨拶


  第三部では、大宗匠が「和 ―みんな一緒だよ―」と題して講演され、「私は平和のために、“みんな一緒だよ”という気持ちで世界中をまわっています。差別することなくお互いに一碗をすすめあい、皆が笑顔で仲良く手をとりあってともに歩んでいこうという気持ちがあれば、世の中を明るくすることができるのではないでしょうか」と語りかけられました。




  また、当日は、会場ロビーに鹿児島女子高校の茶道部生徒による呈茶席が設けられ、参加者は一碗を楽しみました。




  午後5時30分からは、城山観光ホテルにおいて、大宗匠を囲む交流懇親会が行われました。冒頭、鹿児島支部特別顧問の岩崎宗泰氏による仕舞「胡蝶」が披露され、保岡興治鹿児島支部副支部長の挨拶に続いて大宗匠が挨拶されました。
  また、懇親会に出席された鹿児島県副知事・岡積常治氏、鹿児島市教育長・石躍政昭氏、衆議院議員・川内博史氏の祝辞の後、大宗匠、親泊一郎支部長、渡 博文支所長、島津修久支部長が揃って壇上へ。渡支所長の乾杯の発声で杯が高々とあげられました。


仕舞「胡蝶」 保岡副支部長挨拶


渡支所長による乾杯発声


  大宗匠は、各テーブルを廻り写真撮影にも応じられ、大宗匠を囲んで和やかな懇親会となりました。会員同士も賑やかに交流し、和合の茶会の継続の意義をあらためて感じる一日となりました。

来年度の和合の茶会は、沖縄支部が主管をつとめます。





照国神社献茶式
―千 玄室大宗匠奉仕―




  翌8日には、照國神社(宮司は島津修久鹿児島支部長)において、ご祭神である島津斉彬公の生誕二百年祭献茶式が執り行われ、千 玄室大宗匠が奉仕されました。
  津斉彬公(1809〜1858)は、幕末に活躍した薩摩藩主で、豊かな国造りを実現するために、軍事力強化だけでなく、紡績や食品加工などの民需産業の育成、電信やガス、教育、福祉などの社会基盤の整備に取り組まれ、薩摩の近代化の礎を築きました。
  同社は、斉彬公の生前の遺徳を偲ぶ人々によって神社建立運動が行われたため、文久3年(1863年)に創建されました。今日では、鹿児島の総氏神として信仰を集めています。
  午前9時、神職に続いて本殿に入られた大宗匠は、濃茶・薄茶の二碗を謹点、ご祭神に捧げられました。




  当日は、薩摩藩主 島津氏の別邸跡とその庭園である仙巌園内の茶室「秀成荘」において記念茶会が開催され、鹿児島支部担当の濃茶席と同支部青年部連絡会担当の薄茶席が設けられました。参加者は島津家と鹿児島の文化に触れながら、鹿児島支部の心尽くしの一碗を味わいました。


濃茶席(鹿児島支部担当) 薄茶席(同支部青年部連絡会担当)